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あの日の夜をもう一度 4(最終話)
えーと…とりあえず、最終話です。

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・・・・・・・・・・・・

「――と……期待させたけど。悪いけど俺は、何もしねーよ」

そう言ったのは、確かに1年前の俺。
あの時、どうして俺は平気だったのだろう。
いや、そう言って、俺は自分の奥底の炎を抑え込んだんだ。

でも、今はもう――


***


しんとした部屋に、シャワーの音が漏れ聞こえてくる。
俺は床に座り込み、読みかけの本を開いていた。……が、文字はさっぱり頭に入ってこない。
この状況は、まさにちょうど1年前のあの夜と同じだ。

俺がシャワーを浴びて、出てきてから琴子が着替えを持って入っていった。
今日、シャワーを浴びたいと言い出したのは琴子だった。だったら先に入れと言ったのだが、琴子は俺の後でいいと言って聞かなかった。
去年と全く同じ状況でも、心情はまるで違う。
本当は、シャワーなんて浴びずに押し倒したかった、なんて言ったら、あいつどんな顔するだろうな。

シャワーの音が止まった。途端に、妙に部屋が静まり返った気がする。

……そして。

「あ、あの……シャワーありがとう」

そっとドアが開いて、琴子が出てきた。俺のパジャマを着ている。
1年前もそうだったな。でも、今日はその時とは何故か違って見える。
俯いて、バスタオルを手にしたまま所在なげに佇む琴子。
ぶかぶかのパジャマと、長い髪。ほのかに赤い顔なのは、風呂上がりだから、だけではないだろう。
ぎこちない動きが、それを物語っている。
さっきはあんな強気な顔をしていたくせにな。今は緊張しているのがありありとわかる。それが琴子らしくて……1年前と少しも変わっていなくて、俺をどこかほっとさせた。

……そうだ。1年前は。

「お前さ……」

そっと琴子に歩み寄り、声をかけると、琴子はびくっと反応した。

「な、なに……?」

顔をさらに赤くさせて、俺を見上げる。
ぶっ。ホントに緊張してるな。さっきとはまるで別人だ。
俺は笑いをこらえながら、琴子が手にしたバスタオルを受け取った。

「……今日は腹の虫、鳴らねーの?」

「へ……?」

きょとんと目を見開く琴子。何を言われたのかわかっていないらしい。

「去年はお前、このタイミングですげぇ腹減らしてたろーが。今日は大丈夫なの?」

「えっ……や、やだもうっ!そんなこと…っ」

途端に、ちょっと怒った顔で俺に食ってかかろうとした琴子を胸の中に閉じ込めた。そして唇を塞ぐ。
柔らかい唇。呼吸する暇も与えないほど、深いキスを繰り返す。
琴子の体から、だんだんと力が抜けてきた。
しっかりとその体を支えると、俺は抱き上げ、そのままベッドへと運んでいく。

「い、入江くん…」

そっとベッドに横たえると、琴子が真っ赤な顔で俺を見上げてきた。大きな目を更に見開いている。
急な展開に焦っているのか?もしかして。
でも、もう遅い。
元はと言えば、お前が仕掛けたんだ。
そして、風呂上がりのお前が、何とも言えず可愛く見えたから。

俺はふっと笑うと、言った。

「……嘘。知ってるよ。さっき、またチキンを食べたんだろ」

「え……う、うん」

風呂上がりに水を飲みに行ったら、キッチンにあの容器が置いてあったからな。
今日の今日まで、こいつは努力していたらしい。

「じゃあ、その努力の成果を見せてもらわなきゃな」

言うが早いが、また唇を奪う。
次第に深くなっていくキス。
うっすらと目を開けてみると、琴子はぎゅっと固く目を瞑っていた。それをいいことに、俺の手は行動を開始する。

上からパジャマのボタンを外していく。目を固く閉じている琴子は気づかない。
ボタンを外し終わり、はだけたパジャマから琴子の白い肌がのぞいている。
そして。

「あ…っ」

琴子が小さく声を上げた。あらわになったふくらみにそっと触れる。そのまま撫で上げると、琴子の体はぴくんと跳ねた。

「あ、あの……ごめんね。ちっちゃくて」

琴子の小さな声が聞こえた。

「頑張ったんだけど……その、あんまり変わらなくて……あっ」

「……綺麗だ」

俺は思わず呟いていた。琴子が目を見張る。
そう。琴子はとても綺麗だった。
琴子が気にしていることなんて、俺には全く気にならないことで。
ただ、それが琴子だから。だから、ひたすらに求めるんだ。
俺は得難い宝物のように、琴子に触れていく。

「い、りえ……くんっ……」

そう。今は。
……俺はもう、平気でなんかいられないんだ。








いつだって、お前は俺のために行動する。
たとえそれが、俺の望むこととは違っても。
お前は知らない。そんなことをしなくても、俺がお前に惹かれていることを。
でも、俺は、そんな俺の気持ちをわかってくれないお前が好きなんだ。


***


目を開けると、飛び込んできたのは目の前の寝顔だった。
ブラインドのわずかな隙間から窺える外は、まだ暗い。
珍しく常夜灯をつけた部屋。
……そうだ。つけたのは去年こいつが泊まって以来だな。
俺は真っ暗じゃなきゃ眠れなかったんだが……
これから、この明るさに慣れていくのだろうか。
そんなことが頭に浮かんで、ちょっと苦笑する。

その薄明かりの中、琴子の顔をじっと見つめる。
琴子はぐっすり眠っていた。
昨夜はだいぶ遅くまで寝かさなかったから、しばらくは起きないだろう。
全く……こうして見ると、あどけない顔をしているのにな。昨夜見せた顔は本当にどこまでも……女の顔で。
初めてのことに戸惑う琴子を翻弄しながら、俺もまたこいつに翻弄されていた。
細い体で必死に俺を受け入れ、受け止めて……
そんな様子に、俺は更に煽られ、のめり込んだような気がする。
そんなことは生まれて初めてで。

シーツに広がる長い髪。
そっと掬い上げると、さらりと指からこぼれ、シーツに落ちていく。
こんな光景は今日初めて見たもの。
それもまた、何とも言えず綺麗だった。

と、その時。

「!」

……あぶねぇ。
すんでのところで飛んできた腕を避けた俺。
……そうだった。こいつ、えらく寝相が悪いんだった……。

ったく……せっかく綺麗だって見ていたのに、台無しじゃねーか。
まあ、去年はこの寝相の悪さのせいで、寝姿に色気を感じる暇もなく、ある意味助かったんだよな。

しかし、今は……
掛けていた布団がめくれて、白い胸元がのぞいている。
ったく……

お前、更に俺を煽ってんのかよ。
これ以上、俺をどうするつもりだよ。

「ん……入江く……ん、だいすき……」

おまけにこんな寝言吐かれたら。
……おい。

「もう1回、襲うぞ」

低く言ってやると、うふふ…と無邪気な笑顔が浮かんだ。
……ったく……人の気も知らないで。

溜め息をついていたら、今度は足が飛んできて俺の脚に当たった。しかしさっぱり起きる気配はなく、何やらむにゃむにゃ言っている。
あーもう。
俺は腕の中に琴子を抱き寄せた。
狭いベッドで、逃げ場はないしな。これで、寝相に悩まされることはないだろう。

……が。
今度は、触れる素肌のぬくもりがじわじわと伝わってくる。
……また体が熱くなりそうだ……
俺はもう一度盛大な溜め息をつき、無理やり目を閉じた。



***


それから、俺もまた、いつの間にか眠りについてしまったらしい。
ふと気がつくと、先程より部屋が少し明るくなっている。ブラインドの隙間から、朝陽が入り込んでいた。

「ん……」

腕の中のぬくもりが、わずかに身じろぎした。
顔を覗き込むと、琴子がそっと目が開けた。

「………」

寝起きで何も見えていない瞳が、次第に焦点を合わせていく。そして、視線が俺を捉えた。

「……えっ……い、入江くん!?」

至近距離の俺の顔を見て、いっぺんに目が覚めたらしい。琴子の目が真ん丸に見開かれた。

「……おはよう、琴子」

「お、おはよう……」

そう言うと、ぼんっ!と琴子は真っ赤になった。どこか困惑した表情で、俺を見上げている。

「あ、あの……あたし、その……あのまま寝ちゃったの……?」


布団の中でもぞもぞしながら、訊いてきた。

「ああ」

俺が頷くと、琴子は恥ずかしそうに布団に潜り込んでしまった。

「そんなに恥ずかしがらなくても。もう、昨日隅々まで見させてもらったし」

「す、隅々って……!」

俺の言葉にばっと布団から顔を出した琴子。勢い余って肩まで布団がめくれ、あわててまた潜り込む。
くくっ。
相変わらず飽きない反応する奴だな。
琴子はしばらく布団を被ったままみのむし状態になっていたけれど、少しして、またもぞもぞと動き出した。
こそっと、顔を半分だけ出して、俺の様子を窺うように見ている。

「でも……びっくりしちゃった」

掛け布団から目だけ出した状態で、ぽつりと琴子は言う。

「入江くんって、思っていたより、ずっと……」

「なんだよ」

「ずっと男の人で、……えっちだった」

「………」

なんだよ、その感想は。

そんな俺は、お前が引き出したんだろーが。

「あ、違うの!あのね、嬉しかった……すごく」

布団から顔を出して、はにかむような笑顔でそんなことを言う琴子。

「あたしのこと、ちゃんと女の子だって見てくれたってわかったから……」

……そうだよ。そんなことは当たり前だろ。何を言ってるんだか。
まあ、実は1年前だって、そう思ってはいたんだけどな。それは俺だけの秘密。

「まあ、そう思ってはいたんだけど……実は、残念なことがあって」

「えっ。何!?」

途端に琴子は顔色を変えた。また、がばっと布団から飛び出してくる。

「お前の寝相は何とかしてほしいんだけど。すげぇ痛い」

「えっうそっ!あたし何かしたの!?」

「強烈なキック。肋骨折れたかも」

「嘘ーっ!やだ、ど、どうしようっ」

「……嘘」

「……!」

とりあえず、寝相の件は、俺がしっかり抱き締めておくしかないか。
――こんな風に。

固まっている琴子を胸の中に閉じ込める。
ようやく、本当に俺だけのものになった琴子を。

……初めてこいつをこの部屋に泊めてからちょうど1年後。

俺たちは、また関係を新たにした。
もっともっと、近くて切り離せない存在へ。
そして、今朝は間違いなく、今までで一番、幸せな朝。
俺は腕の中のぬくもりを抱き締めながら、それを実感していた――





☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ

す、すみません……
期待してしまった方、いたかもしれませんが、私には無理でした……(汗)

まあ、自分としては琴子に翻弄される直樹が大好物なので、それを書けて満足しているのですが。
あと、せっかく琴子が頑張った(笑)ので、それを直樹に見てもらいたいのもあって、このような形になりました。

大変お粗末様でした……


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Re: ゆうようらぶまま様
コメントありがとうございます!

琴子ちゃんがカワイイって言っていただいて嬉しいです!本当に、1年前の二人とは関係がものすごく変わりましたね。まさに身も心も結ばれた二人です^m^

花粉症は・・・辛いです!(>_<)
もう、目も鼻も取り替えてしまいたいくらい・・・・・・ゆうようらぶまま様も辛い毎日ですか?本当にこの時期、これはストレスですよね。頑張って乗り切りましょうね。


Re: たまち様
コメントありがとうございます!

そうそう、直樹はずいぶん前から琴子が好きだったんですよね。それに気づかない期間が本当に長かったこともあって、気付いた後もなかなか自分の気持ちを表現できなかったりしてましたね。
確かに、実はそれでいて愛情あふれる激しいタイプっていうのは納得!
でも過去の経験から自分でカギをかけちゃいました。

源泉かけ流し!(笑)
こういうタイプの方が、一度恋するとのめりこんでしまうのかもしれませんね。
そして独占欲も凄そう。
それがちゃんと伝えられれば、琴子も不安になったりしないのに・・・

情事の表現は、難しいですね・・・
私にはここらへんまでが限度でした。
このお話のこの回だけは、自分で読み返せなさそうです・・・

でも、たまちさんに喜んでいただけたようでよかったです。
(*^_^*)
Re: マロン様
コメントありがとうございます!

こちらこそ、嬉しいお言葉いただいて感激です!
私もやっと二人が結ばれてほっとしています(笑)。
こういう原作とは違うシチュこそ、二次創作の醍醐味ですね。書く方も楽しんで書いております♪
Re: 紀子ママ様
コメントありがとうございます!

満足していただけました?よかった。私にはこれが精いっぱいだったので・・・そう言っていただけるとほっとします。

この入江くんは特にブレーキ利きすぎてましたね・・・たしかに哀れかも。
本当に、ここまで普通の人間らしく、若者らしくなったのは琴子ちゃんのおかげですね。
琴子ちゃんによって、芽生えた感情も多かったですしね。それをうまく表現するのはまだまだ不器用ですけど。
Re: ねーさん様
コメントありがとうございます!

初夜初挑戦しましたが、難しかったです・・・
もう書けないかも?ですよ。

でもそう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます!

ホワイトデー話、書きたいのですが、書けるかなあ・・・
ふふふ、琴子ちゃんを直樹にって・・・御礼をするのは直樹のはずなのに、それじゃどっちがプレゼントされてるかわからないですね(笑)。
でも、そうなると今後は紀子さんがいろいろ出張ることもあるかもですね。

プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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