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眠り姫は待ちきれない 16
拍手&コメントありがとうございます!
とっても励みになります。
コメントの返信、私書くの大好きなのですが、なかなかPCに向かう暇がなくて(泣)。

やっぱりスマホにしちゃった方がいいのかな……いまだにガラケーの私です。


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・・・・・・・・・・・・

な、何なんだろう…

さっきから怒濤の展開で、あたしは完全に頭がついていってない。

入江くんがお医者さんになる?
金ちゃんがあたしにつきっきりで、おまけにあたしをお嫁にするとか何とかって。
一体、何がどーなっているのか……

あたしは、頭が混乱しながらもモトコさんに連れられて、入江くんの後についてきた。
今、入江くんは電車に乗っている。
ドア付近で立っている入江くん。電車に揺られながらじっと窓の外を見ている。そんな様子が、いつもとまた違って見える。


そして、着いたのは、あたしの入院している病院だった。
もう慣れたようにエレベーターに乗り、3階で降りる入江くん。足早に向かうのは、あたしの〈身体〉のある病室。
あたしは、もう息を潜めるようにして後に続く。
心臓が、どきどきいってる。
祈るような、不思議な予感があたしを支配する。

入江くん……入江くん……
まさか……
もしかして……
でも……

そんな言葉が、あたしの頭の中をぐるぐると回っている。

あたしの病室の前まで来た入江くんが、ドアノブに手をかけようとした、その時だった。

「なんや、お前」

廊下に、聞き慣れた声が響いた。

「何してんのや、こんなとこで!」

低い声でそう言い放ったのは、金ちゃんだった。廊下の角を曲がってきたところで、立ち止まっている。手には缶コーヒーを2本持っていた。

「何をしてるって、お前こそ何してるんだよ」

入江くんが応じる。それは、びくっとするくらい冷たい声だった。

「わしは今、留守を預かってんのや。大将は先生と大事な話があるよって。あ、そうや、お前のおかんも一緒についていったけどな」

金ちゃんは入江くんをじろじろと見ながらこちらに歩いてくる。

「そやから、お前、おかん連れて帰り。あのおかんうるさくてかなわんわ。はよ連れて帰ってや」

「俺は帰らない」

凛とした声が廊下に響いた。

「帰るのはお前だ」

「なんやと…?」

金ちゃんが思い切り眉をひそめた。そのまま、入江くんを睨み付けている。
入江くんは、そんな金ちゃんの視線をものともせずに受け止めていた。
冷静な顔。
あたしは、固唾を飲んで二人のやり取りを見下ろしていた。

「今さら来といて何言うてんねん!わしはなあ、毎日こうしてここに来て、琴子を見てるんや。今まで見舞いにも来んかったような奴が、アホなこと言うな!」

金ちゃんが怒鳴り付ける。

「琴子は、俺が起こしてやる」

入江くんが、静かに、でもきっぱりと言った。

「何年かかっても、俺があいつを起こす」

え――………?
入江くん、今、何て………

「何を訳のわからんことを……天才の気まぐれか?」

金ちゃんが鼻で笑った。
でも、入江くんの表情は変わらない。
金ちゃんを真っ直ぐ見据え、言った。

「琴子が待ってるのは、俺だ。お前じゃない」

「なっ……」

「琴子が好きなのは、俺だから」

平然と言い放つ入江くん。

「な……な……お前……」

その言葉に、金ちゃんが言葉を失っている。

入江くん……入江くん……!

あたしはただもう、入江くんを見つめるしかできなかった。
頭の中が麻痺したみたいに、全然働かなくて。
ただ、今入江くんの言った言葉だけが、ずっとあたしの中に響いていた。

入江くん……

あたしを起こすって言ったの……?
何年かかっても……?
本当に……?

あたしの体の中に、言葉にならない感情が沸き上がってくる――


「黙って聞いとけば、何を…っ!」

金ちゃんが真っ赤になった。その顔に怒りの表情が浮かんでいる。
肩が震え、拳がぎゅっと握られて。
そして。

「こ、のぉっ」

たまりかねたように、その拳が振り上げられた。それはそのまま入江くんめがけて飛んでいく――!

「入江くんっ!」

入江くんが殴られる――!

あたしはとっさに、金ちゃんの前に飛び出していた。

次の瞬間。

ぶわっ!

そんな音が、聞こえた気がした。
その時何が起こったのか、あたしにはわからなかった。
ただ、体が勝手に動いて、ただもう夢中で。
自分が魂だとか、そんなことは頭から飛んでいた。
あたしは入江くんを背に、金ちゃんの前に立ち塞がった――はずだったんだけど。
気がつくと、目の前にいるはずの金ちゃんがいなくなっていた。
あたしははっとして周りを見回す。

「う……」

少し離れたところから、うめき声が聞こえた。
見ると、廊下の壁に金ちゃんがもたれ掛かっている。
目を閉じて、ぐったりしてる、けど……
一体何が起こったの……?

「全く……あんた、またやったわね」

上の方から、そんな声がした。

「モトコさん……?」

見ると、モトコさんが宙に浮いてあたしを見下ろしてた。

「病院で風を起こすなんて……しかも無意識に、なんて。危ない奴ね」

「おやおや、これはまた」

その後ろからひょこっと現れたトーマさんが、ふわりと金ちゃんのそばに降り立った。そっと金ちゃんの顔を覗き込んで……首を振った。

「……ダメだ。完全に気を失ってるね」

え――……嘘。
これ、また、あたしがやったの……?

「もう、あんたは……こんな大の男一人吹っ飛ばすなんて」

「まあ、仕方ない。全く、恋する乙女のパワーは無限だね」

思わず固まるあたしに、モトコさんは呆れたように溜め息をつき、トーマさんは首をすくめた。

あたし、今、もう無我夢中で、何が何だか……
ただ、入江くんが殴られると思ったから、それを止めようとしたんだけど……。
ああ、でも、金ちゃんに悪いことしちゃった。こんなつもりはなかったんだけど。
大丈夫かな……
まさか、気を失っちゃうなんて……

「ごめん、金ちゃん……」

あたしは宙を飛び、倒れた金ちゃんの元に寄ろうとした。
その時だった。

「琴子……?」

え……――?

あたしは思わず動きを止めた。宙に浮いたまま、動けなくなる。
だって……
今、後ろから聞こえてきたのって。
これ…入江くんの声……――


あたしが、入江くんの声を間違うはずがない、けど。でも、嘘でしょう?
だって、今の声、こっちに向けて発せられてた。
入江くんがあたしを呼ぶなんて……
そんなこと、あるわけが――

どきん。どきん。
鼓動が高鳴る。
自分の心臓がうるさく感じるくらいに。

「琴子、お前……」


もう一度、声が聞こえた。よく通る、低い声。
ああ。やっぱり、幻聴じゃない。
鼓動がさらに高鳴った。
あたしは振り返る。後ろにいる、入江くんの方へと。
嘘……
あたしはただ茫然と、入江くんを見つめる。
その瞳は、見開かれながらも、確かにあたしを捉えていて。
あたしは、その視線にからめとられたように、動けなくなった――




☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ

金ちゃん、哀れ……(涙)
ご、ごめんよ……

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Re: 紀子ママ様
コメントありがとうございます!

確かに入江くんは、琴子ちゃんが気になって何とかしたいという気持ちが恋だとは気付いていなかったでしょうね。
はい、もう独占欲は凄いです(笑)。
あのセリフ、使っちゃいました。
金ちゃんからすれば、ほんと、今さらなにをって感じでしょうけど・・・
でも、原作の入江くんもそうですけど、決める時は決める人だと思います。そうあってほしいですね。

琴子ちゃん、可愛いって言ってもらえてよかった。ほんと魂になっても入江くんのためならフルパワーですね。

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No title
琴子ちゃんらしいv-10琴子ちゃんの気持ちは、いつだって?入江君なんですよね、金ちゃんの、気持ちもわかるけど、でも!琴子ちゃんの気持ちは、いっだて、入江君なんです、入江君だって、琴子ちゃんですよね、入江君は、、琴子ちゃんや、金ちゃんみたいに、ストレート、ていうか、いつだって直じゃないから、ジブ運の気持ちに、築かない、頭はよくっても、、今市、気持ちだけは、築くのが荷がtレナ人ですからね、入江君は。
Re: たまち様
時間のない中、コメントしていただいてありがとうございます!

琴子はここまで来て、パワーアップしています。可愛いって言っていただいてよかった。
そして、やっぱり直樹を動かすものは、嫉妬しか考えられませんでした(笑)。
この頃の直樹はまだまだ小さい奴ですね・・・

はい。目標はちゃんと定まりましたよ!そうすると、直樹って結構迷わないタイプかもしれません。 定まるまでが時間かかったりしますけどね。
Re: なおちゃん様
コメントありがとうございます!

琴子ちゃんらしいって言っていただけてよかったです。
そうなんですよね。
入江くんはどうもプライドとかいろんな面倒なものにとらわれすぎてて、どうも素直じゃないですから。
恋もしたことなかったこともあって、本当に自分の心には鈍感なんですね。
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あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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