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眠り姫は待ちきれない 15
直樹が動いて、話の展開が早くなってきました。
そして、今回も怒涛の展開に・・・・・・

更新も早くしたいなあ、と思う今日この頃……

... Read more ▼

・・・・・・・・・・・・

「な、直樹……い、今、何て……」

あまりの衝撃に動きを止めてしまったおじさんが、やっとそれだけ呟いた。

「俺は、医者になりたいんだ。だから、医学部に編入したい」

入江くんは、もう一度はっきりと言った。

「い、医者って……」

おじさんが愕然としている。言葉にしながらも、考えがついていってないみたい。
かくいうあたしも同じだった。

医者って……医学部って……
そりゃ、入江くんは天才だもん。お医者さんにだってなれちゃうだろうけど。
でも、こんなに突然、どうして――

「前から考えていたんだ。俺が本当にやりたいことは何なのかを」

何かを思い出すように、言葉を続ける入江くん。

「親父や、琴子のお父さんみたいに一生かけられるものを、俺はずっと探してた。それが、はっきりわかったんだ」

真剣な目。
入江くん――本気だ。
あたしは、そんな入江くんから目が離せなかった。

「俺には今、やりたいことがある。俺の手で、やりたいこと――やらなければならないことが」

入江くんは、おじさんをまっすぐに見据えた。

「俺は医者になる。決めたんだ」

「き、決めたって……」

おじさんの顔色がみるみる変わっていく。うろたえたように、口を開いた。

「わしは、お前に会社を継いでほしいと思ってる。お前なら、もっと会社を大きく、いいものにできるだろう。だから……」

「親父」

また、入江くんがおじさんの言葉を遮った。

「親父には本当に悪いと思ってる。だけど」

入江くんはそこで一度言葉を切り、息をついた。

「俺は、どうしても医者になりたいんだ。医者になって、助けたい人がいる」

「………」

助けたい人……?
それって……

「俺がこの手で助けたいんだ。そして、それが、俺の生きる意味になっていく気がするから」

おじさんは、ただただ呆然として、何も言えなくなっている。
リビングが、しんとした沈黙に沈んだ。

入江くんは、じっとおじさんをみつめている。
言いたいことは全て言った――そんな表情だった。


「お兄ちゃんが助けたい人って……」

沈黙の中、裕樹くんの声が響いた。

「それって……」

その時。


――ピンポーン

玄関のチャイムが鳴った。
はっとした裕樹くんが、インターホンに向かう。

「――はい。……え?」

受話器を取って応対した裕樹くんが、驚いた顔をした。

「はい――ちょっと待って」

そう言うと裕樹くんは受話器を置き、入江くんの方を向いた。

「お兄ちゃん。琴子の友達が来てる」

「琴子の友達?」

「うん。よくうちにも来てたあの二人。お兄ちゃんに用があるんだって」

え?
って、理美とじんこが?
わざわざうちに来て?何だろう。
しかも、入江くんに用事って――

「わかった。…親父、この話はまた後で」

入江くんはまだ顔色を失ったままのおじさんにそう言うと、玄関の方へ向かった。
あたしも、急いで後を追う。

入江くん――

廊下を歩く入江くんの広い背中。
あたしは思わず入江くんの背中に手を伸ばした。
どうしてか、入江くんに手が届きそうな、そんな気がしたから。


――ガチャッ。

玄関のドアが開くと、そこにはやっぱり理美とじんこが立っていた。

「あ……入江くん。よかった、家にいて」

「ごめんね、急に押し掛けて。おばさんに、多分家にいると思うって聞いて」

二人とも、ちょっと緊張した顔をしている。

「……お袋に聞いた?」

「うん。あたし達今まで琴子の病院に行ってたから」

聞き返した入江くんに、理美が答えた。

――え。
そうだったんだ。あたし、今日はずっと入江くんのそばにいたから、知らなかった……

「そう。あたしたち二人とも、昨日までサークルの旅行でいなかったんだ。だから琴子の事故のことも知らなくて……そうしたら、昨日の夜、金ちゃんから電話がかかってきて」

「……金之助?」

入江くんが低い声で聞き返した。

「うん。金ちゃん、琴子のお父さんから事故のこと聞いて、それから毎日琴子の病室行ってたんだって。」

「………」

「もう、あたしたちもびっくりしちゃって…しかも、琴子、いつ目が覚めるかわからないなんていうし……もしかしたら、ずっとこのままかもしれないなんて……」

二人とも、目に涙を浮かべて俯いてる。
ああ、理美もじんこも、あたしをすごく心配してくれてるんだ。
二人とも、ごめん。そしてありがとう。
そんな気持ちを込めて、あたしは二人の後ろに回り、二人の肩を包み込む。

「それで……入江くんにお願いがあって」

涙を拭いながら、理美が顔を上げて言った。

「俺に?」

すると、二人は一瞬顔を見合わせ、意を決したように、口を開いた。

「う、うん。あのね、ちょっとでいいから、琴子のところに行って、声をかけてあげてほしいの」

「そう。ああいう意識がない状態でも、話しかけると本人に聞こえてるんだってね。体に触ったりするのもいいって聞いたけど」

二人とも、必死な顔で入江くんに訴えかけてる。

「今は金ちゃんがいろいろ琴子に話しかけてるけど……今日なんて、お店が休みだから琴子につきっきりでそばにいるんやって言ってたし」

「つきっきり……?」

入江くんがまた聞き返した。

「マッサージもいいらしいって、どこかで聞いてきたみたいで、たくさんやってやるって」

「琴子のお父さんにも、琴子がいつ目が覚めたって、……たとえ覚めなくたって、俺の嫁さんになるのは琴子しかおらへん、なんて言っちゃって」

えっ。
金ちゃん、そんなこと言ったの!?
あたしは引っくり返りそうになってしまった。
嫁さんって……そんな……
あたし、意識不明でいつ起きるかわからないのに?

「でも、頑張ってる金ちゃんには悪いんだけど……琴子は金ちゃんより入江くんに来て欲しいって、きっと思ってると思うの」

理美が入江くんに言う。

「つきっきりしろなんて言わないから……、声くらいかけてあげてほしいんだ」

「入江くんが声かけたら、琴子も目を覚ますかも知れないし」

「ホント、一言でいいの。さっさと起きろ、とか、いつまで寝てんだ、とかでいいから……」

「「お願いします!!」」

二人が声を揃えて頭を下げた、その時。

ダッ…
玄関に立っていた入江くんが、急に身を翻した。
廊下を走ってリビングに飛び込んだ、と思ったら、すぐに戻って来た。肩から鞄を提げている。
そして、慌ただしく靴を履いた。

「話はわかった。それじゃ」

「そ、それじゃって…入江くん!?」

唖然としている二人をそのままに、入江くんは玄関を飛び出した。そのまま、道路に出て走っていく。

あれは……駅の方……?

入江くん……?
これって一体……

「何ぼやっとしてんのよっ!早く行くわよっ」

どん、とあたしの背中を叩いたのはモトコさんだった。

「行くって、どこに……」
「バカねっ、この流れで行くところなんて一つしかないじゃない!」

モトコさんが目を剥いた。
「さあ、琴子ちゃん」

またどこからともなく現れたトーマさんが、にっこり笑って言う。

「やっと奴も気づいたようだね。全く、手間のかかる奴だ」

ふっ、と溜め息混じりに言うと、

「さあ、眠り姫のラストステージだ」

恭しく、あたしの手を取って囁いた。




☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ

長くなったので、ここで切ります。
続きは明日公開の予定です。
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Re: ねーさん様
コメントありがとうございます!

はい、動き出しました。
金ちゃんがカギなのは、原作と同じですね。
そして入江くんが動けば物語が動くところも。

そんなわけで、続きも公開しました~。
Re: 紀子ママ様
コメントありがとうございます!

重樹さんは衝撃だったでしょうね。
これで会社が危ないとかだと、本当にお話が大変なことになりますね・・・

そして金ちゃんのマッサージは確かに嫌だ・・・
極端なところは、金ちゃんや琴子ちゃんの特徴ですけれどね。
そして、これで直樹を煽ってみました(笑)。

理美とじんこは本当にいい友達ですね。
おかげで、なかなか動かなかった直樹もついに動きました!
走れ入江くん!(笑)
Re: たまち様
コメントありがとうございます!

ついに動いたからには、この直樹にはカッコよく動いてほしいなーと思っております。
そうですね、直樹は将来のことも親に勝手に期待されて可哀想なところがありましたね。
だから、原作では親に内緒で医学部に編入したのでしょうか・・・

じんこと理美はいつもいい仕事しますね。
本人たちはわかってなくても、金ちゃんのことを話してくれました。
かなり直樹を煽ってくれたようです(笑)。
ここまで来ると、天才も感情で動いています。

確かに!
この二人は似てますね!
琴子の場合、散々直樹に意地悪されたり馬鹿にされてきた歴史があるので、好きだ好きだと言っていても、直樹がまさか自分に惹かれているとは思えないんですね。
そして自分の気持ちに鈍感な直樹・・・

はい、大集合しましたよ~(笑)。

No title
入江君は、琴子ちゃんを、助けるために、お医者さんに、なりたいと、入江君の、お父さんに、お願いしていたよ、そ、何時も、入江君は、琴子ちゃんを、助けていたこと、思いだいて、琴子ちゃんv-60v-42
Re: なおちゃん様
コメントありがとうございます!

原作では、直樹が医師を目指すもともとのきっかけは、ノンちゃんと出会った時の琴子の一言でしたよね。
でも、実際に医学部に編入するまでに結構時間が開いていて。
もし、琴子を助けるためだったら、そんなに時間を開けることなく決心できたのかな、と思ってそんな流れにしたんです。
自分の気持ちの正体がわからなくても、直樹はいつだって琴子を助けてきましたよね。だからこそ、将来を決めるのも琴子が直接のきっかけだったらいいな、と思いまして。
これも、IF話を書く醍醐味ですね。
プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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