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だから僕はキスをする
何とかイブの夜に間に合いました…!

と言っても、クリスマスには全く関係ないお話なんですが(汗)

それでもいいという方は続きからどうぞ。

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・・・・・・・・・・


「ああ、俺もこんな論文書けばよかったなあ」

ある日の夕方、医局。
直樹が雑務に追われパソコンを打ち込んでいると。
医局のソファに腰をかけ、何やら雑誌を読んでいた西垣が、そんなことを言い出した。

「俺にぴったりのテーマだな」
「どんな論文です?」

船津が反応し、西垣の後ろから雑誌を覗き込む。

「なになに、『キスの効能』…って、これ、医学雑誌じゃないじゃないですか」
「そうだよ。日頃からこういう風にいろんな話題にアンテナ立てておくことが、いろいろな人と会話を楽しむことにつながるからね」

人って、どーせ女だろ、と直樹はパソコンを打つスピードは変えぬまま、内心突っ込みを入れる。

「『キスをすると、オキシトシンというホルモンが分泌されます。これは「幸せホルモン」「絆ホルモン」と言われ、気分を安定させたり、幸福感を感じたり、お互いの絆を深め浮気を防止させたりする働きが…』へぇ、浮気防止ねぇ」
「そ、そんな研究があるんですか」
「うん。カナダやイギリスで行われているみたいだな」

何故か興味を持ったらしい船津の問いに西垣が答える。

「ほら、ここんとこなんかかなり興味深いぜ。『…また、情熱的なキスは、興奮をもたらすドーパミンや、相手を求める気持ちを強くするセロトニン等の神経伝達物質の濃度を高めます。さらに、男性の唾液に含まれるテストステロンという物質は、女性の性欲を高める働きが…』確かにな。キッスは濃厚にした方が盛り上がるもんなあ」
「唾液…唾液って…」

船津が顔を真っ赤にしながらぶつぶつ呟いている。

「ま、俺ならもっと実地を交えて深い研究にできそうだがね。いや、本気で取り組むかな。女性にとってのキスの効能、というテーマに絞るとか」

あんたの専門は外科だろ、とまたも直樹は内心毒づく。

「おい入江、聞いたかー?お前、日頃琴子ちゃんに冷たくしてるけど、こうして夫婦の絆深めといた方がいいんじゃないかー?もうかれこれ結婚して5年だろ?そろそろ倦怠期来てないか?」
「全く余計なお世話ですね」

わざわざソファから振り返って絡んでくる西垣をあっさり一言で切り捨て、直樹はパソコン入力を続ける。

「そんなこと言って、琴子ちゃん、実は結構人気あるからなー。そんなすかした顔してるうちに、夫婦関係崩壊してたなんてことないようにな」
「………」

返事をするのも馬鹿らしいと、今度は直樹は無視を決め込む。

「ふん、可愛いげのない奴だ」
「…あれ、そーいえば入江さん、明日から確か神戸に出張でしたよね」

憤慨する西垣を余所に、船津が直樹に訊いた。

「ああ。研修中にお世話になった教授に呼ばれててな。明日から一週間行ってくる」

そう言うと直樹はパソコンの電源を落とし、立ち上がった。

「そんなわけなので、俺の留守中、よろしくお願いします、西垣先生。あんまり下らない記事ばかり読んでないで、仕事して下さいよ」
「なっ…」
「それじゃ、お先に」

あくまでスマートな物腰で颯爽と医局を後にする直樹に、西垣は臍を噛む。

「くそぉお、お前がいない間、寂しい琴子ちゃんを口説いてやるからなー、戻ってきた時に俺に夢中になってたって知らねーぞっ」

西垣の喚き声が虚しく響いた。


***


「あーあ…明日から一週間も入江くんいないんだ…寂しいなぁ」

夜。

先にベッドに入っている琴子がため息をついている。

「仕事してりゃ、あっという間だろ。一週間なんて」

ベッドに腰掛け、濡れた髪をタオルで拭きながら直樹が答える。

「そんなことないよ!入江くんがいない一週間なんて…すごく長ーく感じるよ、絶対」

がば、と体を起こして、琴子が訴えるように言う。

「今回の行き先って神戸だよね…」
「ああ」
「看護婦さん、美人な人多かったよね…入江くん、言い寄られたりしないかな」
「…俺は仕事で行くんだけど」
「あああ、あたし明日から眠れないかも」
「ま、仕事の方に影響出さないようにしろよ」

ぽん、と琴子の頭を軽く叩き、直樹もベッドの中に入る。

「あーあ、心配…ね、入江くん、看護婦さんにどっか行こうとかって誘われても絶対行っちゃダメだからねっ」

「…あのなあ」

だから俺は仕事で…、と言いかけた直樹は、ふと琴子の顔を覗き込む。

「なにお前、俺が浮気しないか心配してんの」
「い、いや別にし、心配なんかっ。入江くんのこと、し、信じてるもんっ」

何故かどもる琴子。

「ふーん…じゃあ、さ」

直樹はどこか人の悪い笑みを浮かべた。

「今日、西垣先生が言ってたんだけど。浮気防止にキスが効くって」
「えっ」
「…試してみる?」

そう言うと、直樹はベッドに横になった。

「ほら、俺が浮気しないように、お前からキスしてみろよ」
そう言って、目を閉じる。
「えっ…って、あ、あたしから!?」
「そう」

真っ赤になった琴子が聞き返すと、平然とした返事が返ってきた。はた、と琴子は静止してしまう。

――そ、そんな…こんな状態であたしからキスするだなんて、何だか恥ずかしい…でもでもっ、浮気防止なのよね。あの西垣先生が言ったんだよね…だったらホントなのかな…

ぶつぶつぶつ。琴子は一生懸命いろいろ考えているつもりのようだが、全部口に出ている。ぷっ、と小さく笑みを溢すと、直樹は口を開いた。

「ふーん、じゃあお前は明日から俺がどーなってもいいわけ」
「やっ!そうじゃないもんっ」
「じゃ、どーすんだよ」
「え…う…」

情けなく眉を下げ、琴子はしばし固まっていた、が。
意を決したように体を起こし、横になっている直樹の上に傾ける。
そして。

――ちゅっ

そんな擬音がぴったりな、軽いキスが直樹の唇に降ってきた。
直樹はそっと目を開け、目の前にある顔をみつめる――真っ赤な顔。そして、潤んだ瞳を。

「…その程度の予防策で、お前はいいのかよ」
「え、入江、くん…んっ」
後頭部に、骨ばった大きな手が触れた。と同時に強い力で引き寄せられる。
琴子は目を見開いたまま、直樹の唇の感触を味わっていた。
息のつく暇もないほどの――熱いキスを。
だんだんと何も考えられなくなってくる。
それは直樹も同じだった。
感じるのは、お互いのぬくもり。吐息。それだけで。
「ん…あっ…」

奔流。
直樹自身、呑まれそうになりながら、身をまかせる。
ドーパミン。オキシトシン。
もちろん、知識として知っている。
神経伝達物質。
ホルモン。
そんなものが、体の中をぐるぐると渦巻いているのだろう――今。


ただ、本能のままに。
理屈なんて、通じない。

(こいつも、この俺の――気持ちも)

理性的な自己を認識する自分が、いつも琴子に関してはそれを放棄させられているから。

ただ、感じるままに。

(こいつは、俺のもの)

そんな想いを込めて。
夜に溺れていく――


***


明るい朝日が、カーテンの隙間から射し込んできている。

「うー…ん」

ベッドの中で寝返りを打ち、琴子は目を開けた。

「あれ…?」

のそのそと起き上がった琴子は、ようやく今自分がベッドに一人でいることを認識した。
そして。

「――!入江くん…!」

急いでベッドから降りようとした琴子は、しかし目に飛び込んできた時計の指す針の位置を見て、動きを止める。

「わーん…入江くん、もう行っちゃったよ、ね…」

今日から直樹は出張。朝早く出ると言っていたが、ちゃんと玄関でお見送りしようと思っていたのに。

「昨日、寝るの遅かったしなあ…入江くん、あんなに…」

ぽつりと呟いた琴子は、ついでに昨日の夜のことを思い出して真っ赤になった。
いつになく情熱的なキス。普段クールな直樹のあんな一面。思い出しただけでドキドキしてしまう。

(あんな入江くんを知っているのは、あたしだけ――)

「あれだけたくさんたくさんキスしたんだもん。浮気防止バッチリね!」

そう言って、すっかり上機嫌になった琴子は、急いでベッドを飛び降りる。

「うん、今日も頑張ろ!」

今日から直樹はいない。そんな時こそ、仕事はしっかりしなきゃと琴子は両手で自分の頬を叩き、気合いを入れた。

(あ、そーいえば昨日、西垣先生があたしの予定を聞いてきたけど、何だったのかな…)

少し首を傾げつつ、まぁいっかと思い直し、もう一度頬を叩いて。


(あ、でも夜、電話しちゃおっかな…)

そんなことを思いつつ、出勤の準備をすべく琴子は部屋を出た――




☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ


今日、キスに関するコラムを読んだんですが、そこからこんなお話ができました。

それから、またコメントのお返事はできそうにありません。ごめんなさい。
全て目は通させていただいていますので、この場でお礼申し上げます。ありがとうございます。

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Re: ねーさん様
コメントありがとうございます!

そちらのブログにも書きましたが、本当に嬉しかったです!ありがとうございます。

今回は、私自身甘いのに飢えている(?)のもあり、甘い直樹にしてみました。
あっさりなのは、深ーく書く技量がないからなんですが(爆)。
一度、おぼれる直樹を詳細に書いてみようか・・・いや。無理(笑)。

リンクの件は、近いうちにさせていただきますね。
何しろ家人に内緒でブログやってますので、こそこそPCいじるしかないので・・・

温かいお言葉、ありがとうございました!
Re: たまち様
コメントありがとうございます!

キスの効能、ホントに研究されているらしいです。
直樹にこの情報を知らせるの、誰にしようかな~と考えて、やっぱりガッキーを採用。
本物の西垣先生(笑)を初めて書きましたが、やっぱり残念なお人になってしまいました。もはや2次ではこれが仕様なのですね。

琴子は充電しきれなかったかな?毎日でも直樹の泊まるホテルにでも電話したりして(笑)。

プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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