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眠り姫は待ちきれない 1
夏だからなのか、こんな話が浮かびました。
(って、どこかで見たような書き出し…笑)

テーマは「荒唐無稽」です(え)。

いわゆる、IF話になります。
イリコト結婚前のお話です。
原作のイメージを壊されるのが嫌、という方は閲覧をご遠慮ください。

どんな話もどんと来い!という方のみ、続きからお読みください。

... Read more ▼
・・・・・・・・・・


「…とこさん」

…………

「相原琴子さん」

…遠くで声がする。

「相原琴子さん」

…ああ、あたしを呼んでるんだ。

んー…でも、待って。なんだかすっごく眠いの……

「相原、琴子、さん」

あれ…誰の声……?

「あーいーはーらー、こーとーこーさん」

聞き覚えない、な……

どうせなら、入江くんの声で目覚めたいんだけどな…。
入江くんの低ーい素敵な声で………

「―――」

あー……瞼が重い………

「相原琴子っ!!」

――――!

「な、なによっ、耳許で!」

あたしは、至近距離で聞こえた大声に、がばっと身を起こした。もうっ、耳がキンキンするじゃない!

「ああ、やっと起きたわね」

身を起こしたあたしの耳に、ハスキーな低い声が飛び込んできた。

そして。
う、うわあ…す、すごい美人。
目の前にいた人を見て、あたしはちょっと言葉を失ってしまう。
天然パーマなのかな、髪の毛は短い。うっすらとメイクされた顔は、どちらかというと中性的。
あたしの身近な美人っていうと松本姉がいるけど、だいぶタイプが違う。

「何、アタシの顔に何かついてる?」

美人さんがクスッと笑って言った。

「あ、ごめんなさい」

ついじーっと顔を見ちゃった。初めて会う人なのに失礼よね。
美人さんは、身を起こしたあたしのそばに膝をついた状態で覗き込んでいた。白い薄手のロングコートがすごく似合ってる。

「て、あれ?」

あたしはその時ようやく違和感に気づいた。

「そ、それ、何……?」

あたしは思わずそれを凝視しながら指差した。
何がおかしいって……その、美人さんの頭の上。

何か、光ってる。そんなに眩しいっていうんじゃないけど。
かすかな光を放つそれは。
輪っか………?

漫画とかイラストに描かれてる天使の頭の上にあるような輪っかが、その美人さんの頭の上に浮かんでる。

「ああ、これね。エンジェルリングよ」

ああ、なんだ。エンジェルリングか。
って確か、結婚を約束した時につける…

「それはエンゲージリングでしょ。これはエンジェルリング。天使の輪、よ」

エンジェルリング……
天使の輪……

天使って……

「あ、アタシは天使のモトコ。よろしくね」

美人さんがニッコリ笑って自己紹介をした。
けど……

「て、天使って……」
「天使っていうのは、人が死んで体を離れた魂をあの世まで連れていく案内人のこと」

モトコさんとやらが、淡々と説明してくれる。

けど。

「死んだ人…って……」

え?ど、どーゆーこと………?

「ちょ、まってよ。そんな真面目な顔して、天使だなんて」

イヤだなーそんな冗談。
ははは…と笑ってしまう。

「エンジェルリングなんて言って…それ、何か細い糸かなんかで繋げてるの?それで浮いてるように見せてるとか」

ほんと、芸が細かいわー。

「ほら、こうしてみれば糸か何かがあるってすぐわかっちゃうんだか……ら」

って、あれ?

あたしは少し起き上がると、膝をついてる状態のモトコさんの頭の上に手を伸ばした。
伸ばした…んだけど。

モトコさんの頭とその光るリングの間に、いくら手を差し入れても、何も触れない。糸も何もないみたい。

「まあ、そーゆー反応になるのも無理ないんだけど」

茫然として、その天使の輪とやらを眺めるあたしに、モトコさんは特に気を悪くするわけでもなく言った。

「アンタ、ちょっと周りを見てみなさいよ」

周り……?

モトコさんに言われて、あたしは初めて自分が今いる場所を見回した。

「なに、ここ…」

あたしは目を疑う。


――何も、ない。

いや、ほんとにそう表現するしかない。

よく田舎の方に行くと、何もないとこ、って言うことあるけど、そういうことじゃない。
何も存在しない。物理的に。

辺りは真っ白……一面真っ白でしかない空間、だった。
その真っ白な空間に、あたしはぽつんと存在している。
いや、あたしとモトコさんだけが浮かんでいる――そんな感じだった。

「な、何なのここは……一体どこなの!?」
「まあ、落ち着いて」

はいはい、というようにモトコさんがあたしの肩にぽんと手を置く。

「ここはね、霊界。現世――つまり現実の世界と、あの世との中間の世界よ」

レイカイ……レイカイ………

ああ、あたし答えが合ってた、と。

「それは正解。じゃなくて、霊界、よ」


……はあ、霊界ね。
現実の世界とあの世の中間……って。

――あの世?

「な、何言ってるの?あの世ってあの世って……その、死んでからいく世界、ってこと?…」
「そ。その“あの世”よ」

やっとわかったみたいね、と、モトコさんは事も無げに言った。

ってこと、は。

「つまり…あたし、……死んじゃった、……ってこと?」

ま、まさか。
そんなことって。

「だってだってあたし、い、入江くんに何も、何も言ってないのにっ」

そうよ。
入江くんに何も言ってない。
いや、いつも大好きって言ってるけど、その……まだ全然あたしの気持ちなんて伝えきれてない気がするしっ。
だってだって……死んだら、あたし、死んじゃった、ら。
もう、入江くんには会えない……ってこと……?
会えないなんて……会えないなんて……

「いやあぁぁーっ!」

一気に涙が溢れてくる。

やだ。
やだやだやだ。
入江くんにもう会えないなんて……
もう大好きって言えないなんて……

そんなの、死んでも死にきれないっ!!

「ちょっと、だから落ち着きなさいよ。誰もアンタが死んだなんて言ってないでしょ」
「へ……?」

あたしはモトコさんの方を見た。
モトコさんは呆れたようにあたしを見ている。
それから、あたしから下の方へと視線を動かした。目を細め、何かを見ている。

「…ちょうどいいわね」

そう呟くと、モトコさんは立ち上がった。

「ちょっとこっちに来て」
「え?」
「ほら」

手を取られ、よくわからないまま引っ張っていかれた。
少し行くと、ただ白い空間が広がる中に、一ヵ所、光っているところがあった。これは、穴…?
そこには1メートルほどの穴が開いていて、その中から光が射してきている。
モトコさんはそこまであたしを引っ張って来ると手を離し、その穴のそばに膝をついた。

「ほら、下を覗いてみなさい」
「え…」

戸惑いながらも、あたしは言われるままその穴を覗きこむ。

「お父さん!?」

あたしは思わず声をあげた。
その穴から見た風景。
そこは、多分病院の病室。その中、中央に置かれたベッドのそばにお父さんが立ち尽くしていた。
そのお父さんの視線の先には。

「あれ……あたし!?」

ベッドに横たわるのは、紛れもなくあたしだった。

「琴子…琴子」

お父さんがあたしを呼んでる。横たわるあたしの枕元で。
でも、あたしは目を閉じたまま、ぴくりとも動かない。

「頭部CTを撮りましたが、特に問題はありませんでした。何もなければ、まあ…明日の朝までには意識も回復するものと思われます」

ベッドのすぐそばでパソコンのモニターを指差しつつ、白衣を着た男の人が、お父さんにそう言った。

「あとは脚の打撲傷がありますが、これはたいしたことはありません」
「そうですか……よかった」

お父さんはほっとしたようにため息を吐いた。

「事故に遭ったなんて聞いた時はもう…どうなったかと思ったが」

……事故?

あたし、事故に遭ったの?
あたしが茫然と穴を通してその場を見つめていると。

「琴子ちゃんっ」

ガチャッと音がして、そこに新たに人が飛び込んできた。

「おばさん…」

入江くんのお母さんだ。そして。

「お袋、静かにしろよ」

おばさんの後ろから病室に入ってきたのは。

「入江くん……入江くん!!」

あたしは思わず大声を上げる。
でも、あたしの声に入江くんが反応することはなかった。
あたしの声、届いてないんだ。
あたしはここにいるのに……ここから、入江くんを見ているのに。

「お父さん!おばさん!」

二人を呼んでみたけど…やっぱり同じ。
あたしの声、聞こえないんだ。

「ああ奥さん。わざわざ来てもらって、本当に申し訳ない」

お父さんがおばさんに頭を下げている。

「何言ってるんですか相原さんっ。琴子ちゃんの一大事に…そ、それで琴子ちゃんは」
「頭を打って今は意識がないんですが、明日の朝までには意識は戻るだろうと、先生が」
「明日まで……、ああ、……よかった……」
「お袋っ」

おばさんはへなへなとその場に座り込みそうになってしまった。入江くんがあわてて支えている。

「CTでは、特に問題は見つからなかったんですね?出血などは…」

入江くんが先生に鋭い目を向け、確認するように訊いた。

「ええ。頭部に出血などは見当たりませんでした」
「そうですか………」

入江くんはほっとしたように息をつき、前髪をかき揚げた。
そして、ふーっとため息を吐いている。

入江くん……もしかして、あたしを心配してくれてる・・・?
そう思ったら、何だか涙が出てきた。

「わかった?アンタの身体はああしてまだ生きてるわ」

それまでずっと黙って様子を見守っていたモトコさんが、あたしの肩にぽんと手を置いてそう言った。

「う、うん。…え、今、身体って…」

モトコさんは、“アンタの身体”って言った。
あたしの身体は生きてるって。
あそこに意識のないあたしがいて…
じゃあ、今ここにいてこうして上からそれを見ているあたしって…

「つまり、アンタは事故に遭った。その時に身体から魂が飛び出してしまい、今こうしてここにいるってこと」

――魂?

今、ここにいるあたしが、魂だけの存在って……そーゆーこと?

「ま、よっぽどあわてん坊だってことね、アンタ。死んだわけでもないのに、こうして出てきちゃったんだから」

混乱しているあたしに、モトコさんがため息をつきつつ言った。

「なっ…」

あわてん坊って……

でも、死んでなかったんだ、あたし。
よくわからないけど、ちゃんとお医者さんもそう言ってたし。
よかったぁ……

あたしがほっとしていると、

「しかし、事故の時に直樹くんがいてくれたんだってな。救急車にも一緒に乗ってくれたって……本当にありがとう」

お父さんが入江くんの方を向いてそう言った。

「いえ俺は…大したことはしてませんから」

入江くんが?
あたしが事故に遭った時、入江くんがいたの?救急車にも乗ってくれたって……入江くんが?
入江くん……

「あ……」

あたしはその時、ようやく思い出していた。
事故に遭った時のことを。



☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ


はい、こんな感じでスタートします。
相変わらずのマイペース更新になると思いますが…
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Re: たまち様
コメントありがとうございます!

直樹とあのお嬢の仲のよい風は私も嫌なので書けません・・・
どーんと来い!と言っていただけて良かった~心強いです!

幽体離脱琴子(笑)。
確かに!きっと直樹の背後霊となって、近づく女を片っ端から追い払う!くらいやりそう(笑)

そしてモトコさんの性別・・・少なくとも琴子は女だと思っています。

はい、琴子が傍観者なんてなんて不似合いな(笑)。
まあ、すぐに傍観者でなくなる予定ですが・・・^m^

続きもさくっと書きたいと思います。
プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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