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One More Kiss
閲覧ありがとうございます。
早いもので、このブログも公開して今日でちょうど半年になります。
相変わらず進歩がなく、更新もカメペースですが、「細く長く」をモットーに頑張っていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いします!


そんなわけで、1つ短編を書きましたので、よろしければ続きからどうぞ。
... Read more ▼
・・・・・・・・・・

(もぉ、入江くんてばっ)

休日の昼下がり。
琴子はばん!と力任せにウォークインクローゼットの扉を開けた。

(せっかくのお休みなんだから、たまには一緒に出掛けてくれてもいいのにっ)

つい先程まで、琴子は書斎で医学書に向き合う直樹にデートをせがんでいた。
だが、論文の執筆に没頭している直樹に
「邪魔するな」
と一蹴されてしまったのである。
病院に勤める二人が揃って休みとなるのは珍しい。論文の締切だって、そう急を要しているわけではないはず。それなのに全く相手にしてもらえず、琴子は完全に拗ねていた。
仕方なく寝室に来て、たまにはクローゼットの整理でも…と思い立ったのだ。

「わあ、懐かしい~」

しばし、クローゼットの中から洋服を取り出していた琴子は思わず声を上げた。手にしているのは一着の夏用ワンピース。最近は着なくなっていたものだ。

(このワンピースといえば…)

琴子は思い出を振り返り、思わずにんまりしてしまう。
あれは…もう6年も前になる。ちょうど、今くらいの時期だった。
夏休み、須藤の親戚が経営するペンションにアルバイトに行ってしまった直樹を追いかけて、家族全員で訪れた清里。
松本姉妹や金之助まで押し掛けてきて、あまりの普段との変わらなさにちょっぴりがっくりしながら、琴子は木陰でうたた寝をしていたのだった。
その時に見たのが、直樹がキスをしてくれる夢、だったわけだが。

(夢じゃなかったのよねぇ~っ)

そのことを知ったのは、直樹との結婚式の直前だった。裕樹が結婚祝いにと教えてくれたのだ。
そしてこのワンピース。
まさにあの日あの時、清里で着ていたものだった。

(うふふ~、ちょっと着てみようかな~)

懐かしさと甘い思い出の香りに、琴子はうきうきとワンピースに袖を通した。

「うん、いいじゃなーい」

あれから6年も経っているが、後ろのファスナーはすっと上がった。姿見の前でくるんと一回転した琴子は満足げに笑みを溢す。我ながら、よく似合っている気がする。

(入江くん…あの時、これ着てたあたしが可愛くってキスしたのかな~)

思わずムフムフとにやけてしまう。

「あ、そうだ!」

飽きずに姿見の前で自分を眺めていた琴子は、不意に思い付いた考えに目を輝かせた。


***


「おい、琴子。夕飯だぞ」

二人の寝室のドアを開け、直樹が声をかけた。が、返事はない。

「おい琴子…」

もう一度呼びかけた直樹ははたと視線を止める。
ベッドの上に目を閉じた琴子が横になっていた。その胸はゆっくりと上下している。

「………」

しばらく、琴子をみつめる直樹。
しーん、と訪れる沈黙。
そして。

「ふがっ」

突然鼻を摘ままれて、琴子は飛び起きた。

「いったーい!何するのよ」
「メシだって言ってるだろ。さっさと来い」

そう言うなり、直樹はさっさと部屋を出ていってしまう。

「もうっ」

琴子は口を尖らせ、ベッドから降りる。その身にまとうのは、あのワンピース。琴子は、あの時を再現すべく、それを着て寝たふりをしていたのだった。
あの時はすっかり眠っていて全く起きれなかったのだが…旦那様にキスで起こしてもらうなんて、なんて素敵なのだろうか。
しかし…今の直樹の反応ときたら。

(入江くん、覚えてないのかな…)

抜群の記憶力を誇る直樹だというのに…琴子はぷうっと膨れた。

「おいっ、早くしろよ」

そんな琴子を余所に、直樹の声が飛んでくる。

「はーい」

琴子はちぇ、と呟き、部屋を後にした。


***


しかし、それくらいでめげる琴子ではない。

「入江くーん、コーヒー持ってきたよ」

夕食後、直樹が再び書斎で机に向かっていると、琴子がお盆にマグカップを載せてやってきた。

「ああ。サンキュ」

パソコンから目を離さないまま応える直樹。
琴子は机の邪魔にならなそうな場所にカップを置いた。

「ねぇねぇ入江くん」
「…何?」
「今日のあたし、いつもと、その…違わない?」
「はあ?」

直樹は面倒くさそうに琴子を見た。
琴子はわくわくと直樹を見返している。
あの時のことを直樹が忘れているなら、思い出させてしまおう。琴子はご丁寧にピンクの口紅までつけていた。

「…いつもと同じだろ」

しかし、直樹の返事は冷たいものだった。

「え~、よく見てよ~」
「知らねーよ」
「見てったら」
「うるせーな。他に用がないなら出てけよ」

直樹はにべもない。琴子は口を尖らせつつ、書斎を出されてしまった。


***


「琴子、風呂、先に入ったぞ。お前も入ってこいよ」

直樹が濡れた髪をタオルで拭きながら寝室に入ってきた。

「え、あ、うん…入るね」

俯き、自分の格好を見下ろす琴子。
お風呂に入るとなれば、このワンピースは脱がなければならない。直樹は何も言ってくれないし、まだ名残惜しかった。

(キスで起こしてくれるのは無理でも…あの時と変わらず可愛いよ、くらい言ってくれたらなぁ…)

そんなことを思いつつ、直樹をじぃーっとみつめる。
そんな琴子を知ってか知らずか、直樹はベッドに腰を下ろしてタオルで髪を拭いていた。

「なんだよ」

琴子の視線の強さに負けたのか、ようやく直樹が琴子の方を向いた。

「ねぇ、入江くん」
「だからなんだよ」
「この服、見覚えない?」
琴子は直樹の前まで来ると、くるっと回った。その拍子に、着ているワンピースの裾が翻る。

「………それが何」
「二十歳の時に着てたんだけどね、夏に」
「へぇ」

特に何の感慨も見せず、気のない返事をする直樹。
しかし、琴子もめげずに続ける。

「今日、クローゼットの中で見つけてね、久しぶりに着てみたんだけど…どうかな」
「ふうん。まだ着れたんだ」
「ま、まあそうだけど」
「つまり、あの頃から全く成長がないんだな」
「な、なによそれっ。体型をキープしてるって言って!」
「ここはキープしなくてもよかったんだけど?」

意地の悪い笑みを浮かべ、からかうように直樹は言うと、ぽんぽんと琴子の胸を軽く叩く。

「なっ…」
途端に琴子は真っ赤になった。

「もうっ!好きでこのサイズなわけじゃないもん」
「ふーん?」
「もう、知らないっ」

琴子は直樹に背を向けてそっぽを向いた。

「…おい、琴子」
「………」
「こっち向けよ」
「………」
「琴子」
「!」

いきなり強い力で後ろから抱き寄せられて、琴子は思わず後ろを振り返った。
その唇に、キスが落とされる。
羽のようにふわりと触れる感触を、琴子は目を見開いたまま感じていた。

「…あの時みたいに、キスしてほしかったんだろ」

「えっ。って、入江くん…」

覚えてたの、と言おうとした唇は、再び直樹のそれに塞がれた。今度は情熱的な、深いキス。

「ん…」

かすかに吐息を漏らし、琴子はうっとりと目を閉じた。だんだんと身体から力が抜けていく。
繰り返される甘いキスに、琴子はすっかり身を委ねていた。

「…琴子」
「ん…」
「琴子」
「え…?」
「俺はこのままでもいいんだけど」
「………?」
「風呂、入るんじゃなかったっけ?」
「……!」

途端に琴子は目を開けた。直樹はそんな琴子の顔を覗き込む――人の悪い笑みを浮かべて。

「続き、する?」
「いいっ!あ、あたしお風呂入るねっ」

琴子はあわてて直樹の腕から出ると、着替えを手にそそくさと寝室を出ていった。
そんな琴子を見送り、直樹はふっと笑みを溢す。

(忘れてるわけないだろ)

あの夏の日。
木に寄りかかって眠る琴子の様子は、まるで一幅の絵画のように直樹の記憶の中にある。
そして、そのあどけない寝顔に、艶やかな唇に惹き付けられてキスをしたことも。
あの時は、何か不可解な力が働いていたとしか思えない。この自分が、抗いようもなかったのだから。
今思い返すと、少し口惜しい気さえする。
だからこそ。

(俺が、お前の思い通りにしてやるわけないだろうが)

ましてや、あんな見え見えの狸寝入りなどに騙されるはずもない。
今度は自分が、琴子を翻弄してやる。あの時とは逆に。
…けれど。

(これからの時間、俺もまた、あいつにどうにかされるのかもな)

いつだって、様々な表情を見せる琴子に、自分はまたどうしようもなく惹かれるのだから。

そんなことを考えつつ、琴子が部屋に戻ってくるのを直樹は待ちわびるのだった。


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Re: たまち様
コメント&お祝いのお言葉ありがとうございます!

過去作、読み返していただいてるのですか・・・!
今よりさらに稚拙な文章の作品ですが、私には可愛いわが子のようなものなので、
そう言っていただけるととっても嬉しいです♪

はい、相変わらずの二人です。何年たっても、きっと変わらないんでしょうね。
直樹は常に琴子より優位に立っていたいので、琴子の思うどおりになんてしてやるわけありません。
ましてや、清里で思わずキスしてしまったのは、彼にとって敗北でしかないわけですよね。オチた!というか(笑)
であるからこそ、あの時の再現なんてしてやるはずがないのです。

うん、たまちさんの言うとおり、まだ青い♪

そうそう、暴走しないように頑張ってます!
でも、きっと直樹も翻弄されてしまうのでしょうね…(笑)


Re: ジェニィ様
コメント&お祝いのお言葉ありがとうございます!

妄想好きな琴子のことですから、思い出のワンピースをみつけたら、きっとこうするだろうなー、と、するするとお話ができました♪

そしてやっぱり直樹は琴子の思うどおりにならないだろうなーと。
でもでも結局はラブラブなんですよね、この二人。羨ましいわ。

ほんと、涼しくなったりして不安定な天気ですね。お気づかいありがとうございます。
早く過ごしやすくなるといいですね。お互い、夏を乗り切りましょう!
(^o^)/
Re: ぴくもん様
わあ~!
コメントありがとうございます!!

お好みのお話でしたか?よかったです。
琴子があの時のワンピースをみつけたら、きっとこうするだろうなー、と妄想していたら、するするとお話ができました♪

> 結局お互いがお互いを翻弄している感じ

ホント、そうですよね、この二人。
直樹はそうされたくはなくはないのでしょうけど、というか常に優位に立っていたいのでしょうけど、
結局は琴子に翻弄されてしまうのでしょうね。
楽しんでいただけたようで嬉しいです。
(*^_^*)


Re: 水玉様
コメント&お祝いのお言葉ありがとうございます!

いえいえ、読んでいただけただけで嬉しいです~!

原作好きとしては、書いている琴子が原作のまんまって言っていただけるのはとっても嬉しいです♪
この二人、ホントに結構しても本当に変わらないですよね。

そして、結婚して数年たったこのくらいの時期には、仰る通り、直樹は確かに琴子に翻弄されることを楽しみにしてるんじゃないかと思って、こんな描写を入れてみました。


> スタイルと共に愛情もキープしているんだからいいじゃない~

ほんと、そうですよね!羨ましい・・・・・・

また、サイトにも遊びに行かせていただきますね!
今後ともよろしくお願いします。


プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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