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琴子の愛妻特急便(前)
更新が滞っていてすみません!
リクエストいただいていた、「入江くんが神戸にいる頃の夏休み」、書いてみました。
リク主様、遅くなってごめんなさい。
とりあえず、今日は前編です。今回は琴子目線。
『黄金週間』の続きになりますので、まだお読みでない方はそちらから先に読むことをお勧めします。
... Read more ▼
・・・・・・・

今年もやってきた夏休み!
夏休みと言えば…
海!プール!
あ、花火ってのもあるわよね。
そして遠く離れて愛を募らせる二人の感動の再会!

……のはず、なんだけど。

「うう…終わらない……」

昼下がり、入江家のリビング。
あたしはテーブルに広げられたレポート用紙の上に突っ伏して呻いた。
途端に、

「「「琴子っ!」」」

周りから罵声が飛んでくる。

「もー、あんたが一番進んでないんじゃないのっ!」
隣に座るモトちゃんがぱしっとあたしの頭を叩いて言う。

「そーよっ、あたし達だって、早く終わらせて遊びに行きたいんだからね。とっとと自分の受け持ち、まとめなさいよ」

これは真里奈。

「そーやってたって終わんねーだろ。ほら、資料見て進めろよ」

啓太があたしの方に参考書を押しやりながら言う。

「ううっ……」

そう。
看護科の夏休みといえば、大量の課題!
去年と同じく、今年も班でやるレポートが山積みで、夏休みに入ったというのにどこにも出掛けずにこうして集まってはレポートに取り組んでいるんだけど……
はあぁ…思わずため息が出てしまう。
ああ…入江くん……
6月に神戸に行って、なんだかんだで1週間滞在して…それ以来、会ってない。
やっぱり忙しいみたいで電話しても捕まらないし、大抵は留守電クンに話をすることになる。
ああ…声が聞きたい。顔が見たい。
入江くんの整った顔。
ほら、こうして目を閉じれば、すぐに浮かんでくるの……

「「「寝るなっ!」」」

うう…入江くうん。

「もう…だいたいあんたは暑い中移動もせずにあたし達が来るのを待ってたんでしょ。だれてないでよ」
「そうそう。ここまで来るのだって大変なんだからね。汗だくで」

モトちゃんと真里奈が畳み掛けるように言う。

「だって…、やっと夏休みに入ったっていうのに、入江くんに会えないんだもん。もうあたし、限界で」
「でも、意外だったわ。琴子さん、夏休みに入ったらすぐに神戸に行くと思ってたのに」

これまで黙っていた智子が口を挟んだ。

「…あたしだってそうしたかったの。だけど、入江くんが、『課題が終わるまで来るな』って…」
「そうなんだ…」
「なんか入江さんらしいわね…」

真里奈とモトちゃんが変な所で感心している。

「じゃ、頑張るしかねーだろ。さっさと終わらせて、早いとこ神戸に行ってこいよ」
「啓太……」

あたしは思わず泣きそうになった。

「じ、じゃあ、あたしの代わりにここんとこまとめてレポートに」
「自分でやれっ!」

ううっ…やっぱりダメか…
ホントにこんなんで終わるのかな…
ああ、入江くん……
会いたいよぉ。


***


あ、もしもし入江くん?
琴子です。
やっぱり留守なんだね…忙しいんだね。
えっと…今日も皆でうちに集まってレポートをやったよ。でもなかなか終わらなくて…
モトちゃんが、今のペースならあと3日くらい頑張ったら終わるかも?って言ってたけど…
でも、これが終わらないと入江くんに会えないから、頑張るね。早く終わらせて神戸に行くからね。待っててね。


***


ああ…
今日もやっぱり、隣に入江くんはいない……
あたしの右手はむなしくシーツの上をさ迷っている。入江くんの温もりが恋しい。会いたい。
このベッド、やっぱりあたし一人には広すぎるよ…
あたしは何だか起きる気がしなくて、ベッドの中で寝返りを打った。
すると。
トゥルルル……
あれ、電話が鳴ってる……?1階からかすかに音が聞こえた。
こんな朝にって、もしかして!
あたしはガバッと起き上がると部屋を飛び出した。そのまま階段をかけ降りる。リビングのドアを開けると、やっぱり電話がなっていた。お義母さんがキッチンから顔を出して「え、琴子ちゃん?」と驚いてる。あたしは急いで受話器に駆け寄り、受話器を取った。

「もっ、もしもし」

――……琴子?

「入江くん!」

入江くんだ…夢にまで見た、入江くんの声。
あたしはその声を聞いただけで、もう涙ぐんでしまう。

――なんだよ、どうかしたのか?

「あっ、ううん。何でもないよ」

あたしは笑って誤魔化す。

――ならいいけど。昨日の留守電、聞いたよ。

「あ、うん。あの、頑張ってやってるんだけど…なかなか終わらなくて」

――レポート、3日くらいかかるって?

「う、うん。モトちゃんがそう言ってた」

――そうか…それは残念だな。

「え?」

残念って…何が?

――俺、明日から3日間休みになったんだ。

「休みって……ええっ!」
入江くんが、休み!?

「な、なんでそんな急に…」

――今担当してる患者がちょうど落ち着いてきてて、何とか目処が立ったんだ。で、教授が今のうちに夏休み取っとけって。

そ、そんな……それじゃ。

「あ、あたし明日からこ、神戸に」

――レポート、3日かかるのかー。じゃ、俺の休みとは合わないな。いや~、残念だ。

あたしの台詞を遮って、入江くんが言う。
そ、そんな……
せっかくの夏休み……
久しぶりの再会……
久しぶりのデート……
海にプールに花火……
ううん、そんなんじゃなくても、入江くんに会えるんなら何だっていい。
あたし……

「い、入江くん!」

――ん?

「あたし、レポート終わらす!頑張って終わらすから!待ってて!」

あたしはそう言うと電話を切った。
そして、そばにある電話帳を捲り、番号をプッシュする。

「あ、もしもしモトちゃん!?今日レポートやるよね?今来て!すぐ来て!早く来てー!」


***


「だからって…何であたし達がこんな早くから駆り出されなきゃなんないのよ」

真里奈があたしを睨みながらボヤく。

「ご、ごめん真里奈!それに皆!でも、一生のお願い!協力して~!」

あたしは入江家のリビングに今日も集まった皆を前に両手を合わせる。

「何としても明日、神戸に行きたいの!だからお願い……お願いします!」

う…皆の視線が痛い。
でも、一刻も早く、入江くんに会いたいんだもん。

「ほら、皆が来る間、ここまで進めたの!見て!」

あたしは、あれから朝食もそこそこに進めたレポートを見せた。モトちゃんがどれどれ…とそれを手にし、目を通す。

「…琴子…あんたって……」

モトちゃんがため息をついてレポート用紙を返してきた。

「え?」
もしかして、全然ダメだとか?

「初めっから、この集中力でやりなさいよね!」
「ほ、ホント!?大丈夫、これ?」

あたしは目を瞠ってモトちゃんを見た。

「まあ、丸っきりそのままじゃマズイけど、少し手直しすれば何とかなりそうよ。全く…あんたって入江さんが絡むと途端にパワー発揮するんだから」
「じ、じゃあ」
「ま、やるだけやってみましょ」
「あたし達だって、早く終わらせて、夏休み過ごしたいしね」
「しょーがねーな、全く」
「頑張りましょ、琴子さん」

皆が苦笑しながらも口々にそう言ってくれた。
よーし……
あたし頑張るよ、入江くん!
ちゃんと終わらせて、会いに行くからね!


***

そして。

「お、お…終わった……」
あたしは目を擦りながら、レポート用紙をかき集めてとんとんと揃えた。
時間は…朝の4時。
あれから締切前の漫画家みたいに皆で缶詰になってリビングに籠り、レポートを進めていた。
さすがに深夜になる頃には皆、テーブルに突っ伏したりとかして寝ちゃったけど…あたしは睡魔に負けそうになりながらも、何とか必死にレポートを書いた。
そして、ついに終わったよぉ!

「ん…?琴子…?」

隣で丸まるようにして眠っていたモトちゃんが身動きした。

「あ、ごめんね。起こしちゃって」
「ううん…終わったの?」
モトちゃんがまだ眠そうな顔をして訊いた。

「うん!何とか」
「じゃ、あんたももう寝なさいよ。疲れたでしょ?」
モトちゃんが欠伸をしながらそう言った。

「神戸には午後から行けばいいんじゃない?」
「ううん」

あたしは首を横に振って立ち上がった。

「モトちゃん…ホントにありがとう。皆にも伝えておいてね」
「え?伝えるって…」
「もうすぐ電車、動くよね」
「ま、まあ…そうだけど」
戸惑ったようにあたしを見上げるモトちゃん。
あたしは笑って、そんなモトちゃんに言った。

「あたし、今から神戸に行ってくる!」


***


そんなこんなで、あたしは今、新幹線の中にいる。神戸行きの一番早い列車だ。とりあえず、急いで泊まれるように準備してきて…なんか忘れ物もありそうだけど、でも。
やっと…やっと入江くんに会いに行けるんだ~!
そう思ったら、眠ってなんかいられなかった。
皆に悪いことしちゃったな…モトちゃんには謝ったけど。
モトちゃんは、呆れながらも
「あんたらしいわ」
って笑って許してくれた。
ああ、なんか興奮してきた。早く…早く神戸に着かないかな。
入江くん!
今…今、行くからねーっ!

***


つ…ついに来た!
入江くんのマンション。
あたしは新幹線の中で寝ちゃったけど、何とか寝過ごしたりもせずにここまで辿り着いた。
とにかく急いで出てきたから、入江くんには何も連絡してない。
ふふっ、突然来て、ビックリするかな、入江くん。
とりあえず、インターホン押してみよっ。

ピンポーン

ああ、ドキドキする。

「琴子!?どーしたんだこんなに早く」
「おはよう、入江くん♪えへ、来ちゃった。レポート、終わらせたよ。早く会いたかったから…」
「琴子…俺も会いたかったよ」
「入江くん…」

※以上、琴子の脳内妄想――

ああ……
会えなかった時間が二人の愛を育てるのねっ。
そして、感動の再会シーン!
って、あれ……?
あたし、チャイム鳴らしたよね?
おかしいな。もしかして、鳴らした気になってただけ?

ピンポーン。

「………」

こ、今度はちゃんと鳴らしたよね…
でも、一向にドアは開かない。中から物音もしない。
も、もう一度。

ピンポーン

…………―――

やっぱり何の反応もない。
あ、もしかしてまだ寝てる?
そっか。昨日は仕事だったわけだし、きっと帰るの遅くなっちゃってまだ寝てるのねっ。
じゃあ……

あたしは肩から下げたバックのポケットを開けた。
うふっ、これ……
入江くんが、6月に来た時にあたしにくれた合鍵!

『これ、お前の』

って……きゃああっ!
なんか、いいわよね、合鍵。
遠距離恋愛の必須アイテムだわっ。(結婚してるけど)

あたしはドキドキしながら鍵穴に合鍵を差し入れた。
――がチャリ。

あ、開いた!
初めて使った合鍵……
そして入江くんが、中に…!
あ、きっとまだ寝てるのよね。
あたしははやる気持ちを抑えてそーっとドアを開けた。さっと中に滑り込む。
あ、入江くんの部屋の匂い…思わず深呼吸しちゃう。
ああ、入江くん…
愛する妻が、遠路はるばる来ましたよ~
部屋に通じるドアをそっと開ける。
やっと…やっと入江くんに会えるんだ…
あたしは部屋に入り込んだ。中はしーんとして、やっぱり物音一つしない。
やっぱりまだ寝てるのねっ。ベッドに視線を向ける。
「…………あれ?」

思わず声がもれた。
ベッドが、もぬけの殻……?
寝乱れた様子もなく、きれいに布団が敷かれたベッドに呆然としてしまう。
え、じゃあ…
あ、ちょうどトイレに行ってるとか。あたしは身を翻してトイレに向かう。
そっとドアを開けてみたけど…

「いない…」

中は空っぽだった。ユニットバスのバスタブものぞいたけど、やっぱりいない。念のため、キッチンものぞいてみたけど、やっぱりいない。

「嘘でしょ…」

思わず声に出してしまう。
あたしは部屋の中に立ち尽くしていた。


***


「入江先生ですか?今日から夏休みに入られてますよ」

神戸医大病院――入江くんの勤務先。
もしかして急患でも出て急遽勤務になったのかな、と思って来てみたんだけど…小児科の看護婦さんはそう答えた。

「あ、あのっ、昨日は勤務だったんですよね?何時くらいに帰ったとか…」

あたしの更なる質問に、看護婦さんの目が少し険しくなる。

「…失礼ですが、あなたは入江先生とどのような」
「あ、あたしは」

言いかけたその時。

「琴子ちゃん!?」

突然名前を呼ばれた。見ると、白衣を着た男の人がこっちに歩いてくる。
あれ、この人お医者さん?何か見覚えが……あ。

「あ、えっと、入江くんの先輩の……横山先生」
だったっけ?

「あ、俺川島。入江先生の一応先輩な」

あわわ。間違えたっ。

「どうしたん?入江先生は今日から夏休みやけど。聞いてないん?」
「それが…、マンションに行ったらいなくて。もしかして急に呼び出しとか入って仕事になったのかと思って」
「え、来とらんけど。特に急患も急変も出てないから呼び出しとかもしてないはずやし」
「そ、そうですか…」

そんな…入江くん、どこに行っちゃったんだろう…

「ちょっと近所に買い物に行ってるとかちゃうん?」
「で、でも30分くらい部屋で待ってたんです。でも帰ってこなくて」

そう。あれからあたしは部屋にしばらくいたんだ。もしかしてちょっと出掛けてるだけで、すぐに帰ってくるかもしれないと思って。
だけど、入江くんは帰って来なかった。ついでに、マンションの周りを歩いてコンビニとか覗いたりしたけど、やっぱりいなくて…

「ほーか…入江先生、どこ行ったんやろなあ」

川島先生も考え込んでいる。
とそこに。

「入江先生探してるん?」

そんな声が降ってきた。

「あ、佐野先生」

見ると、白衣を着たお医者さんがもう一人、こちらに歩いてきた。

「俺、今朝見かけたけど」
「えっ!?ほほほんとですかっ」

思わず佐野先生とやらににじりよる。

「ど、どこで見たんですか、入江くん!」
「く、くるし…は、放して…」
「琴子ちゃん、落ち着いてっ」

川島先生があたしを止めた。
あ、つい興奮して佐野先生の首を締めてたわ。

「う…、えっと、W駅の近く」
「W駅!?」

って、どこだろ…よくわからない。
戸惑うあたしに、佐野先生は思わぬ爆弾を落とした。

「うん。女の人と一緒に歩いてたよ」

………―――


え?
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Re: ジェニィ様
コメントありがとうございます!

琴子ちゃんのパワーは、入江くんが絡むなら底なしです(笑)。
特に今は遠く離れていてさみしい生活ですからなおさらです。

はい、続きも頑張って書きますね~。
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Re: たまち様
コメントありがとうございます!
返信が遅くなりましてごめんなさい!!

直樹に関することでは、琴子は根性発揮しますからね。
直樹が休みならば、課題なんてなんのその、駆けつけなければ気が済まないのです。

さて、こうして頑張っても報われることが少ないのが琴子の仕様なんですよね・・・・・・
まさか直樹がいないとは!

さて、どうなるのでしょう??
って、続き、頑張って書きますね~。
プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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