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雨のち晴れ
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・・・・・・・・・・・・

恋愛なんてくだらない。

ずっと、そう思っていたこの俺が。

この1日で思い知ったんだ。
自分がどんなに深く、恋をしていたかを。





……外が静かだ……。

あれだけ降っていた雨は、もう止んだようだった。
俺はベッドの中で寝返りを打った。

今日もまた、眠れない。
ただ、昨日までとは全く違う。
最近、ずっと寝付きが悪かった。眠っても身体が重く、何だか澱が溜まっているような感覚がずっと続いていた。
あのお見合いを承諾してから。

しかし、今はどうだろう。
眠れないのは同じなのに、気分が全く違う。すごくすっきりして穏やかで。
心が、静かに凪いでいるように。
まるで、雨が洗い流してくれたみたいだ。
俺の心の余計なものを全部。




「だけど、金ちゃんも大胆よね。いきなり琴子にプロポーズしちゃうんだもん」

あの時、そう聞いて。
会社のことも、何もかも頭からぶっ飛んでいた。
大学のテニスコートにいた俺は、いつの間にか自宅の最寄りの駅前にいた。
降り続ける雨に傘を差して、ただひたすら、あいつを待った。
金之助のプロポーズの返事をしに行ったという琴子。
何て答えるんだ?
あいつと結婚するというのか。

――許さない。
あいつが、他の男のものになるなんて、我慢できない。
その一念が、俺を動かしていた。


「お前は俺が好きなんだよ!俺以外好きになれないんだよ!」


やがて現れた琴子。
金之助と結婚すると……あいつを好きだと言う琴子に、俺は言葉を投げていた。

「でも、仕方ないじゃない。入江くんはあたしのこと好きじゃないんだもん」

そう言って涙を流す琴子。

――違う。

違う。そうじゃないんだ。
俺はお前を――


気がつくと、俺は琴子に唇を重ねていた。
沸き起こる衝動のままに

それはあの清里の時と同じ。
でも、今は認めるよ。自分の気持ちを。

「俺以外の男、好きなんていうな」

そんなことは許さない。
俺がお前のことしか考えられないように。
お前だって、俺だけがずっと好きなんだろう?

琴子を腕の中に閉じ込めて、強く抱き締める。

静かだった。
まるで、時が止まっているかのように。
雨だけが、ただ降り続いていた。

――もう、離さない。


それから。
琴子の手を引いて家に帰った俺は、おじさんに琴子と結婚させてほしいと言った。
もう、琴子がどこにもいかないように。

俺はただそれだけを考えていた。

考えてみると、おじさんはよく承知してくれたと思う。
違う女性と婚約しているはずの俺が、急に琴子と結婚したいと言い出したのだ。
それでも、俺に琴子を託してくれた。
全く……感謝するしかない。



あいつは……琴子は眠れているだろうか。
それぞれの部屋に入る前の琴子の様子を思い出す。


「ほんとに…あたしでいーの?」

まだ信じられないというように、大きな瞳が俺を見上げていた。

「ああ。すっかりマゾ体質にされたみたいだ」

「大好きだからね。入江くん」

「知ってるよ。充分ね」

ああ…そうだ。
この言葉。
俺が、今日雨の中、無意識に欲していたのは。
この言葉に、俺はすっかり囚われていたんだ――


「でも、入江くんがあたしを好きだなんて知らなかったわ」

琴子が俺を見上げて言った。
無理もないな。俺だって知らなかった。

こんなにお前が好きなんて。

「お前には降参したよ」

これはもう、認めるしかない。ため息混じりに苦笑する。
だから。
俺も言うよ。
お前が、二度と他の男を好きだなんて言わないように。

「大好きだよ」

琴子をぎゅっと抱き締め、俺はそう告げた――




今となれば――

恋愛は動力だ。
この身体を突き動かすエネルギー。

俺の中にも、そんなものがあったんだな。いや、あいつのお陰で生まれたんだ。

久々に、ちゃんと眠れそうな気がする。俺は穏やかな気分のまま、ゆっくりと眠りに落ちていった。





☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ


というわけで、あの雨の日の入江くんの心情を書いてみました。
この夜はなかなか眠れなかったんじゃないかなと思います。
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Re: たまち様
こちらにもコメントありがとうございます!

心の雨・・・まさに、ですね。それも土砂降り・・・
一歩踏み出すきっかけになったことが、所有欲だった、というのはまだまだこのころの直樹は子供じみたところがありましたね。
そうそう、直樹の特効薬はあのセリフ。それが聞きたくて、ずっと雨の中、待ってたんですね。
その後もずっと、琴子のあの言葉は直樹の癒しとなっていくのです☆
まあ?入江君だって、つらかったよね?20そこそこで‼大きな会社の、社長代理何て❓上役の人たち、大の、大人たちは、いったい何していたんだろうね?20の青年に、こんなに、大事な仕事を、任せて、情けないですね?でも、入江君も、ようやく、素直になって、琴子ちゃんと、未来を、歩いて行ける、未来があるもんね。
Re: なっちゃん様
コメントありがとうございます!

そうですね・・・確かに上役の人たちは情けないですけど…そう言えば、お見合いの話を最初に持って来たのも上役の人でしたね。
その前に、ゴッドペガサスのヒットで、直樹の有能さはわかっていたので、ついわらをもすがる気持ちになったのかもしれません。

なんにしても、ようやく自分の心に素直になった直樹さんです☆
プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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