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Sanctuary
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出会いは突然――

エレベーターの扉に挟まりそうになったわたしを助けてくれた彼。

なんて、綺麗な人なの――わたしは見とれていた。

それが、わたしの初恋のはじまり。

そのすぐ後にその人が自分のお見合い相手だってわかって、わたしがどんなに嬉しかったか。

運命、かもしれない。そう思った。




貴方とお付き合いしたわずかな間。
わたしの前の貴方は、本当の貴方ではなかった。
優しくて、紳士的で、スマートで。
小さい頃に絵本で読んだ王子様そのもの。
貴方といると、わたしはまるでお姫様だった。
わたしには、完璧すぎるくらいの婚約者だったけれど。
でもそれは、貴方が演じていた偽物の貴方に過ぎなかった。
わたしが本当の貴方を垣間見たのは、ただ一度――デート中に偶然、彼女に会った時。

彼女に意地悪を言った貴方は、王子様ではなく、血の通った生身の男性だった。

「大丈夫、沙穂子さんには言いませんよ」

そう言った貴方。
思えばわたしは、あの時初めて、こうして二人でいることが儚い夢ではないかと思い始めたの。

はじめての恋。
王子様とわたしの思い出。それは今、わたしの心の一番綺麗なところにしまってある。
それは、絶対に汚されることのない、聖域。


「沙穂子?どうしたの?」
一緒にいた友人の声に、我に返った。

夕暮れ時の街角。
それまで視線の先にあった二人の姿は、今はもう見えなくなっていた。
背の高い彼と、髪の長い彼女。
一緒にいることが自然な二人。
はじめから、わたしが入り込むことなんてできるはずもなかったのね。
ううん、きっと誰にも、邪魔なんかできない。
貴方がそんなにも、いろんな表情を見せる人だったなんて、知らなかったわ。

「何でもないの。行きましょう」

わたしは、二人が歩いて行った方に背を向け、歩き出す。

わたしは、あの頃よりずっと大人になったわ。
今度はきっと、王子様じゃない、本当の姿をわたしに見せてくれる人を探すの。
だから、どうか幸せでいてね。
わたしが触れられなかった本当の、貴方。




☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ


初登場の沙穂子さんです。
最近、昔大好きだった漫画の特別編がコミックスで出たので読んでいたのですが、その中に「Sanctuary」という短編がありまして。すごく印象に残って、イタキスで同じタイトルで書くなら誰かな、と考えて出来たのがこちらのお話です。同じなのはタイトルだけで、内容は全く違うのですが…。
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Re: おはようございます♪
> 更新ありがとうございます。
たまち様

コメントありがとうございます。

沙穂子さん、もう根っからお嬢様ですからねえ・・・
琴子を下に見ているっていうのは、私も多分無自覚だとは思いますが、それが彼女からしたら当たり前なのかも。おじーちゃんをはじめ、大事に大事に育てられてきたので。

思いはなかなか断ち切れなかったでしょうね。初恋だし。
直樹は罪な男だ。

プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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