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はじまりの夜に
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入江琴子

入江琴子

入江琴子


――ふふっ。

思わず顔が笑っちゃう。

うーん。いい名前よね。
あたしは何回もノートに書いては、それを眺めていた。

そう。
今日、入江くんとあたしは婚姻届を提出した。

あたしは晴れて、相原琴子から入江琴子になったのだ。
その後、二人で大学に行った。入江くんは今日から復学。もちろん医学部に。
まさに、今日から、あたしたちは新たな生活をスタートさせたんだ。

もうもう、ほんと、幸せ―――


「楽しそうだな」

「入江くん」

いつの間に寝室に入ってきてた愛しのダンナ様。
シャワーを浴びて濡れた髪をタオルで拭いてる。何だかとってもセクシーで、見とれちゃう。
初めて見るわけでもないのに、なんだか心が浮き立つのは、やっぱりちゃんと妻、となったから、なのかな…

「そういえばさ」

入江くんが、机の前に座るあたしを見下ろして言う。

「お前、いつまで俺を入江くんって呼ぶの?」

「へ?」

「入籍して、お前ももう“入江”になっただろうが。それなのに、俺を入江くんって呼ぶのはおかしくねぇ?」

「え…」

確かにそうよね。
うーん。でも……

「じゃあ…なんて呼んだらいいの?」

あたしは考えながら入江くんに訊く。
ずっと入江くんって呼んできたんだもん。いきなり呼び方を変えるなんて……なんて呼んでいいかなんて、わからない。

「名前で呼んだらいいんじゃない?」

「え……」

な、名前って…

「な、な、な、なお、き……くん、とか?」

うわーっ。なんだか慣れなくて変な感じ!
なんか、入江くんを呼んでるって感じがしないよぉ。

「……別に呼び捨てでもいいけど」

「よ、呼び捨て!?」

呼び捨てって、つまり…

「……な、な、な、なお、き……?」

うわーっ。なんだか照れちゃうよ。顔が熱くなってきたかも…

「ちゃんと呼んでみろって」

入江くんはそんなあたしを見て、面白そうに笑ってる。

「むっ、無理~っ!」

「なんで?」

「だって……呼び捨てなんて、なんか、…おそれ多いっていうか」

そう。とても普通になんて呼べそうもない。

「ぶっ。なんだよ、おそれ多いって。じゃあ、なんて呼ぶんだよ」

「え、…あの…」

他って言ってもなあ。

「じゃあ、……ナオちゃん、とか」

ちょっとふざけて言ってみると、

「それは却下」

ものすごーく嫌そうに拒否られた。

「なんか、嫌な歴史を思い出す」

…あ、そっか。
昔、女の子の格好させられてた頃、お義母さんがこう呼んでたんだっけ。

「え、じゃあ、なんて呼べばいいの?あたし、入江くんを呼び捨てになんてやっぱりできないよ」

「わかったよ」

困り果てたあたしに、入江くんは少し笑って言った。

「お前は一生、『入江くん』って呼んでろ」

え……

――一生。

そうか。
あたし、一生、入江くんのそばにいるんだ。

一生、入江くんを入江くんって呼ぶんだ。

あたしの心は、そう思うだけでじんわりと温かくなる。

あたしは椅子から立ち上がり、入江くんに後ろから抱きついた。

「入江くん、だーいすき!」

「知ってるよ」

広い背中に顔を寄せて、あたしは目を閉じる。
入江くんの匂い。
入江くんのぬくもり。

一生、ずっと、あたしだけのもの。

入江くん、これからも、ずっとずっとよろしくね。




☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ


『ここから、はじまる。』を書きながら、ふっと思い付いて書いたものです。
オチも何もありませんが、こんなのもありかな、と。
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一気に!!
たまち様

一気にお読みいただいたんですね~。

コメントも爆笑しつつ、うんうん頷きつつ読んでました。ありがとうございます。

このころは琴子、結構直樹に振り回されているところありましたもんね。
呼び方変えるどころではないですよね。

きゃはは!むっつり!!
してそうですね!!
なんか、また妄想が・・・・・・
プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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