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その先に得たもの
すっかりご無沙汰しております。


前回、コメントを下さった皆様、ありがとうございます。お返事が全くできておらず、本当にごめんなさい。

いろいろと立て込んでしまい、創作はおろかPCに向かう暇もありませんでした…

何とかお話を書けたので、公開します。

急いで書いた上に、短いです。

さらに、原作の後のお話になります。

そんなわけで、ギリギリですが…


入江くん、
Happy birthday!


... Read more ▼



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


“パパなら、ピンポンを2回おすこと!”


仕事を終え、家に帰りついた直樹を出迎えたのは、インターホンの隣に張られた張り紙であった。
紙からはみ出さんばかりの、おおらかな元気のいい字で書いてある。
その字の勢いは、今朝、出勤前の玄関でのやりとりを思い出させる。




『パパ、今日は絶対、早く帰って来てね!絶対ね!』

琴美が背伸びをして直樹に靴べらを渡し、そんなことを言った。

普段、あまり我儘を言わない琴美がそんなことを言うのは珍しい。直樹ははたと靴を履こうとしていた手を止め、琴美の顔を覗き込んだ。

『ね、パパ!琴美、パパが帰って来るまで待ってるからね。だから、早く帰ってね』

そう言いながら、じいっと直樹を見上げてくる。
有無を言わせない、そんな目で。
そこに。

『ね、入江くん!みーちゃんもああ言ってるし、今日は…、できるだけ早く帰って来てあげてね』

娘よりは幾分遠慮がちに、でも真っ直ぐに直樹を見つめ、琴子が言った。
その目が、直樹を囚える。

同じ色の瞳。
何か訴えるような、まだ言いたいことがあるような、けれどそれを隠しているような――
そんな瞳で。


(ったく)

この瞳の威力がどれ程のものか、本人たちは決してわかってはいないだろう。

そう。その瞳に、実は自分は昔から、とても弱い。

それは、今でも変わらず――いや、前よりももっと、その瞳の強さは増している気がする。
決して、本人には言わないけれど。決して、気取られたくはないのだけれど。

ずっとずっと、――敵わない。

(おまけに、今は二人だからな…)

強力なことこの上ない。

密かに白旗を上げつつ、直樹は

『ああ。わかったよ』

と答えたのだった――





だから今日は、こうして残務も適当に西垣あたりに押し付け、早々に帰って来た。
そして、あの二人が何故自分に早く帰って来てほしかったのか、その理由もわかっている。
実は、忙しさにかまけて、自分では今朝まで全く気づいていなかったのだけど。


ピンポーン、ピンポーン

「「はあーい!」」

インターホンを通さずとも聞こえてくる、弾んだ二つの声。

そして。

「「お誕生日おめでとう!」」

玄関のドアが開くのと同時に響き渡る祝福の声とクラッカーの音に、直樹は苦笑していた。



***



クラッカーとともに招き入れられたリビングでは、家族全員が揃い、すっかりパーティーの様相を呈していた。
琴美からのバースデープレゼント。
そして紀子と琴美が作ったのだというバースデーケーキ。
ハッピーバースデーの歌とともに蝋燭を吹き消して。

「これね、琴美が作ったの!おばーちゃんに教えてもらって。いっぱい食べてね!」

琴美が弾んだ声で言う。
テーブルの上は、直樹の好物でいっぱいだった。


“Happy birthday NAOKI”――
そう書かれた巨大な横断幕を背に、賑やかな時間が過ぎていき――。




「ふふ、みーちゃん、すっかり寝ちゃってるね。やっぱり疲れたんだね」

すっかり夜も更けた時間、寝室。

琴子が、琴美の顔を覗き込みながら微笑む。
ついさきほど、リビングで眠い目を擦っていた琴美。今はすっかり夢の中だった。

「今日、頑張ったもんね。去年の分までいっぱいお祝いするんだ、って」


去年のこの日、直樹は急患のため帰って来られず、結局パーティーはできなかったのだ。
その分、琴美は今年こそはと張り切って準備をしていたらしい。

そのあどけない寝顔を見ていると、なんだか仕事の疲れも消えていくような気がする。


「ね、入江くん。これね、あたしから」

琴子が、わくわくした目をしながら、はい、と包みを差し出してきた。

「何だか、渡すタイミング逃しちゃって…はい」

はしゃぐ琴美のペースに巻き込まれ、さすがの琴子も自分のプレゼントを渡せなかったらしい。

「へぇ?今年はないのかと思った」

「もうっ、そんなことないもん」

からかうように言うと、琴子は少し拗ねたような顔になった。
そんな顔は昔と少しも変わっていなくて。
直樹は知らず知らず、口角を上げていた。

「入江くん…」

差し出された包みごと、自分の腕の中に閉じ込める。
伝わる、温かいぬくもり。





(自分の誕生日に、こんな気持ちを感じるようになるなんてな)

こうして、祝われることに、そこはかとない幸せを感じている今。
こんな自分は、過去の自分からは考えられなかった。

こんな風に感じるのは、いつからだろうか――


間違いないのは、琴子に出会わなかったら、こんな風に感じることもきっとなかったということ。
琴子がいたから、自分は変わった。
出会った当初は、ただイライラさせられる、そんな厄介な存在でしかなかったのに。
それでも。
たくさん呆れながら、たくさん怒りながら。
“神の与えた試練”だなんて、本人に言ったこともあった。

それがいつしか、唯一無二の失えない存在に変わっていた――

「お誕生日おめでとう、入江くん」

琴子が振り返りながら言う。

「…ありがとう」


目に見えるプレゼントだけではなく。
琴美も。
こうした温かい空気も、それを感じる自分の心すらも。
すべて、琴子がくれたものだ。



琴子が与えてくれたもの、すべてが愛おしい、と思えるから。


これからも、ずっと、ずっと――一緒に。

「琴子……」

唯一無二のその名を呼んで。

祈る気持ちを封じ込めるように、直樹は琴子の唇に、そっとキスを落とした――



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Re: マロン様
コメントありがとうございます!

こういうお話をもっと余裕で公開できればいいのですが・・・ぎりぎりになってしまってごめんなさい。

直樹は自分の誕生日なんて、以前は本当に興味なかったでしょうね。それもだいぶ子供の時分からそうだったのではないかと思います。

でも、大切な人ができて、その人が自分を祝ってくれる、そんなことがどれだけ幸せなことか、ここまできてようやくわかったのではないでしょうか。
ふふふ、もちろん甘い夜も堪能したでしょうねww
Re: heorakim様
コメントありがとうございます!

コメント返信までもが遅くなってしまいまして、申し訳ありませんでした・・・

待ってましたよ、とのお言葉、嬉しかったです!ありがとうございます。
「プレゼント今年はないのかと思った」・・・ほんとに天邪鬼ですよね。嬉しいくせに!
プレゼントは何だったのでしょうね。何をもらっても、この日は嬉しかったのではないでしょうか。
Re: 紀子ママ 様
コメントありがとうございます!

確かに!
琴子と出会っていたら、こんな風に家族を大切にはしなかったでしょうね。
敷かれたレールをそのまま辿るようにお見合い結婚して、特に幸せとも思わずにいたでしょうね。

自分の誕生日を心を込めて祝ってくれる人がいることの喜び。
そんなものをかみしめている入江君を書きたくて、このお話を書きました。

(*^^*)
Re: りょうママ様
コメントありがとうございます!

入江君はほんとに変わりましたよね。
あんなに冷たい人間だったのに(笑)、今では子煩悩パパです。
そうなったのも、琴子ちゃんのおかげですね。
プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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