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星に願いを
七夕の今夜、妄想が降ってきまして、書きました。
短いです。


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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「琴子ちゃーん」

廊下から、ばたばたと駆け込んでくる足音。
自分を呼ぶ声に、琴子ははっと我に返った。

「どうしたの?休み時間なのに外に出てこないなんて」

仲のよいクラスメイトの一人が、琴子の座る席までやってきて訊いた。

「そーだよー。いないから探しちゃった。何してるの?……あれ、それ、短冊?まだ書いてなかったの?」

もう一人の仲良しが、琴子の手の下にあるものを見て目を丸くする。

「う……うん。今、書こうと思って。あ、先に外に行っててくれる?すぐ行くから」

「そう?じゃ、先に外に行って待ってるね!」

クラスメイト二人は、そう言うと教室を飛び出していった。
残された琴子は、二人の足音が聞こえなくなると、ふうっと息をついた。
そして、咄嗟に手の下に隠した短冊を見やる。

「やっぱり……これは、ダメだよね……」

そこには、先程さんざん迷いながらそれでも書いてしまった琴子の願い事があった。

「……うん。やっぱり、他のことにしよう」

ぽつりと呟き、琴子は消しゴムを探す。

本当は、他の願い事なんてない。
書きたいのは…お星さまに叶えてほしいのは、ただ一つだけ。


そこに書いたのは――


“お母さんに会いたい”





***



「ママー、短冊書いたよー」

昔の思い出に思いを馳せていた琴子は、そんな声にはっと我に返った。

「あ、みーちゃん。じゃあ、パパに吊るしてもらおうか。一番空から目立つように、一番高いとこにね」

「うん!パパー、短冊吊るしてー」

「ああ。いいよ」

ソファで本を読んでいた直樹が立ち上がり、窓のそばにいる二人の方へと歩いてくる。

「みーちゃん何て書いたの?わ、こんなに?」

琴美の書いた短冊は、色とりどり、何枚もあった。

「だってー、一つに決められなかったんだもん。あ、パパは?もう書いた?」

「いや…まだだけど」

「じゃあ書いて!ほら」

愛娘にはい、と短冊を渡された直樹は、ふっと笑みをこぼす。

「そうだな…じゃあ、“ママが仕事で失敗しませんように”にしとくか」

「ちょっと!何言ってんの!」

「あ、“ママの料理の腕が上がりますように”でもいいな」

「もうっ!入江くん!」

「そうだね…あたしも、そう書けばよかったかな」

「み、みーちゃんまで……」



――7月7日、七夕の夜。
今は、こんなににぎやかで。
だから、あの頃の寂しさも、今はもう昔のこと。
書きたい願い事も、今は変わった。


――“いつまでも、このまま、皆元気に、幸せで”


(この願い事なら、書いてもいいよね?……お母さん)


きっと、それは叶えられる。
そう、信じられるから。


夜空を見上げる琴子に、小さな星が一つ、瞬いて見えた――



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Re: マロン様
コメントありがとうございます!

琴子は子供の頃、いろんな行事のたびに寂しい思いをしていたと思います。
願い事も、他の子はもっと気軽なことを書いていたでしょうけど、琴子が本当に願うことはそれしかなかっただろうな、と。

でも、短冊に書いてもそれがかなわないことはわかっていて・・・やっぱり書けなかった琴子。そんな切ない思い出があったからこそ、今の幸せが大切に感じられたのではと思います。
Re: ジェニィ 様
コメントありがとうございます!

そうですね、あの日は梅雨がなかなか開けなくて、見えませんでしたね。

過去の切ない思い出があったからこそ、今の幸せが大切で、ずっと続くようにと祈る琴子。きっと、お母さんも安心して見ているでしょうね。

パパ二人がメインだと、ホントに渋くなりますね・・・以前リクエストいただいて書いてみましたが、そのうちまた書いてみようと実は思ったりしています。
(*^_^*)
Re: たまち様
コメントありがとうございます!

そうですね。いつも琴子は明るくて、でもちゃんと気づかいができる子ですから、寂しい気持ちを見せないようにしていたかもしれませんね。

ランドセルにいつも傘を入れていたお話、切ないです。子供の頃のお母さんの存在って大きいですよね。

寂しかった子供のころと、幸せいっぱいの今。
短冊に書くことも、とっても明るいことに変わって、お母さんも安心して見ているでしょうね。
No title
一人っ子の、琴子ちゃん!子供のころ寂しかった子供の頃が、やはり思い出すんだろうね❓お母さんが、亡くなって、すぐ、そんなさみしさを、一人味わっていたんだろうな?そして、琴子ちゃんにも、入江家の人達や、入江君と、家族ができても、そのころに出来た、心の傷、と、寂しさ、は消えない、でも、今は、入江君琴美ちゃん、紀子ママ,祐樹君、みんなが、集まる楽しさ、それがわかるのは、琴子ちゃんだからですよね。v-8
Re: なおちゃん様
コメントありがとうございます!
返信が遅くなってごめんなさい。

そうですよね。
子供のころ寂しい思いをいっぱいしていた琴子だからこそ、今の幸せが凄く大切で、愛おしいんだと思います。
そんな気持ちを、七夕の夜に、空を見上げてお母さんに伝えているそんな風景が浮かんできて、このお話を書きました。
きっと、お母さんもずっといつも自分を見てくれているって、琴子は思っているでしょうね。
プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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