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ドニーズへようこそ 3
久々にお話を更新します。
ものすごーく肩の力を抜いて書いたものです。
^^;

ありそうでなかった、あの人がドニーズにやってくるお話。

お暇な方だけ、どうぞ。

... Read more ▼
・・・・・・・・・・・・

とある夕方。
ファミレスチェーン、ドニーズのドアが勢いよく開いた。

「いらっしゃいま……え、金ちゃん!?」

今日もバイトで働く琴子は客を出迎え……目を丸くする。

「おう、琴子ーっ、来たでー」

威勢よく入ってきたのは金之助。サングラスをかけ、妙に派手にめかし込んでいる。

「どーしたの金ちゃん。今日、ふぐ吉はお休みじゃないよね?」

「ああ、今日は久々に休みもろたんや。ほんなら琴子のバイト先来てみよ思てな」

金之助はサングラスを外し、にっと笑った。

「えっと、じゃあこちらへどーぞ」

「どーもおおきに」

琴子は先に歩いて空いている席に案内する。金之助は機嫌よくそれに続いた。

「こちらの席でよろしいですか?」

「えーでえーで。琴子に案内されるんならどこでもえーで」

金之助は案内されたソファ席にどっかりと座った。

「メニューはこちらです。今、お冷やとおしぼりお持ちしますねー」

琴子はメニューを渡すと、とりあえず戻っていく。金之助はにまにまとそれを見送った。

「禁煙席一名様でーす」

琴子の声に、厨房に面したカウンターの前にいた直樹はホールの方を振り返った。
先ほどまで空いていた席に座る金之助を見て、わずかに眉をひそめる。
何だか、嫌な予感がした。




「はい、お冷やとおしぼりでーす」

琴子はお盆に載せてきたお冷やとおしぼりをテーブルの上に置いた。

金之助は

「琴子ぉ、その格好もかわいーな」

と、ドニーズの制服姿の琴子を見て歓声をあげている。

「あ、ありがと。えっと、ご注文は?決まった?」

「あ、そーやったな。ほんなら、琴子のおすすめメニューにしとこか」

琴子を目で追うばかりで、さっぱりメニューを見ていなかった金之助である。

「えーっ、あたしの?んー……じゃあ、このサーロインステーキなんてどう?これにサラダつきセットで」

さりげなく一番高いメニューを勧める琴子。

「おー。それでえーで」

しかし上機嫌の金之助はあっさりと了承した。

「それと、お飲み物は?コーヒーならお代わり自由だけど」

「ほんならそれでえーで」

「じゃ、メニューお下げしますねー。少々お待ちください」

メニューを手に下がっていく琴子を、金之助はまたにまにまと見送った。





(やっぱり琴子は可愛えーなー)

店内を動き回る琴子を目で追う金之助は、そんなことを思いながらにやけていた。

(あー、こんなならもっと早くここに来ればよかったなあ)

昼は斗南大の学食、夜はふぐ吉で働いていて、なかなかその機会がなかったのであるが。
しかしこれから、琴子が料理を持ってきたり、コーヒーを注ぎに来てくれるわけで。

(あー楽しみやな)

ただのファミレスの食事でも、それなら何倍にも美味しく感じるに違いない。

「コーヒーをお持ちいたしました」

にやけていた金之助のすぐそばで、そんな声がした。

「どーもおーきに……って、なんやお前!」

これまでと同じように機嫌よく返事をしかけた金之助は、相手の顔を一目見て目を剥いた。

「何、と申されましても……お客様がコーヒーをご注文されましたので、お持ちしたのですが」

表情を全く変えずにそう答えたのは、コーヒーカップの載った盆を持つ直樹だった。
至極無駄のない動きで、金之助の前にカップを置く。

「お食事のご用意をさせていただきます」

直樹はそう言うと、紙ナプキンを敷いた上にナイフやフォークを並べ始めた。

「………」

先程までとは裏腹に、金之助は思わず苦虫を噛み潰した顔になる。

(そうや…ここにはこいつも居ったんやった……)

今更ながらに思い出す金之助。

(普段わしがおらんのをいいことに、琴子に何かしとるんやないやろな)

じろり、と直樹を睨むが、直樹の方はそれをものともせず、仕事を続けている。

「それでは、少々お待ち下さい」

カトラリーを並べ終え、直樹はそつなく軽く会釈をすると、立ち去っていった。

(全く、ムカつくやっちゃなっ)

そんな様子にも何だか腹が立ち、直樹の後ろ姿を睨み付ける。

(そーや、琴子はどないした)

てっきり琴子がいろいろと給仕をしてくれると思っていたのだが……金之助は店内を見回した。

(あ、あんなとこに)

琴子は金之助から離れた喫煙席で注文を取っていた。食事時に差し掛かり、忙しなく動き回っている。こちらに気づく余裕もないようだ。

(ん?)

そんな琴子に、直樹が歩み寄った。何か耳元で囁いている。
琴子の顔がほんのり赤くなり、直樹を見上げて笑みを浮かべた。

(なっ…)

思わず身を乗り出す金之助。
そんな金之助の視線を感じたのか、ふと直樹が振り向いた。そして。

――にやり。
金之助には、そんな表現がぴったりな直樹の顔がはっきり見えた。

(な、何やねんあいつーっ!)

何事もなかったようにこちらに背を向けた直樹に、金之助は怒りがこみ上げてきた。

(くっそおぉ)

腹立ち紛れに金之助はコーヒーをがぶ飲みし……

「あっつっ!」

淹れたてのコーヒーの熱さにむせ返ったのだった。


***


(入江くん、急にどーしたのかな。こっちの担当やれって)

琴子は客が帰ったあとのテーブルに向かいながら、首を傾げていた。
今日、琴子は今金之助が座っている禁煙席の一角を担当フロアとしていた。それが、先程急にこちらの喫煙席の方をやれと直樹に言われたのだ。

(ま、いっか。さっき誉められたし…ふふっ、今日は頑張ろっ)

琴子は張り切って、まだ片付けられていないテーブルを片付け始めた。皿やグラスを次々に重ねていく。
琴子はいつものように高く重ねた皿やグラスを持ち、ぐらぐらさせながら移動を始めた。周りから、おお、というどよめきが起こる。もはやこの光景はこの店の名物となっているのだ。
すると。

「ことこぉ~っ!」

もの凄い叫び声と共に、琴子の元にすっ飛んできたのは、金之助だった。

「琴子ぉ、こんな重いもん持ったらあかんで!琴子の細腕が折れたらどないすんねん!」

「え?でもいつもやってるし」

きょとんとして答える琴子。
そう言っている間にも、重ねられた皿はぐらぐらと揺れている。

「いつも!?あかんあかん、俺が持ったるさかい、ほら」

「えっ……ち、ちょっと金ちゃん危な……っ」

ただでさえ不安定に重ねられていた皿やグラスである。金之助が腕を伸ばして琴子の手から取り上げようとすると、大きく揺れた。

「あっ…」

琴子は咄嗟にバランスを取ろうと金之助から距離を取る。食器の山は、また大きく揺れ……一番上にあった空のグラスが傾いた。
周りから悲鳴のような声が響く。

(え…)

グラスが頭上に落ちてくるのを、琴子は、茫然と見ているしかできなかった。

(ぶつかる!)

思わず目を瞑り、身を固くした次の瞬間。

(あれ……?)

自分の身に何も起きず、目を開けた琴子の目に、直樹の姿が飛び込んできた。
その手には、グラスが握られている。

「い、入江くん!?」

「…ったく」

ごく小さく舌打ちして、直樹はグラスを持ち直す。琴子に当たる直前に、何とか素手でキャッチしたのだ。
直樹は琴子から視線を外すと、金之助の方へと向いた。

「……!」

ほんの一瞬、零下のような視線に貫かれ、金之助は固まる。

(あれ……?)

琴子の無事に安堵していた周りの客も、何故か急に寒気を感じていた。

「わーん、入江くーん!ありがとー」

その場で唯一、室温変化に気づいていない琴子は直樹に駆け寄ろうとした。その拍子に、またその手の上の食器の山が大きく揺れる。

「ほら、それはいいから。早いとこそれ、持ってけ」

「うん!」

琴子は大きく頷き、厨房の方へと一歩踏み出した。頷いた拍子に、また食器が大きく揺れたのだが……何とかバランスを取り戻す。

「ちょっと待たんか入……っ」

ようやく視線の呪縛から抜け出した金之助が声を発したが、それは不自然に途切れた。

「え、金ちゃん?」

琴子は背後を振り返ろうとする。

「おいっ。危ないだろ。早く片付けるぞ、来いっ」

途端に直樹の声が飛んできた。

「あ、はあい」

琴子は首を傾げながらも、確かにそのままでは危ないので直樹の後を追い、厨房の方へと移動を始めた。
二人が立ち去ったその場では。

「……ことこぉ……」

琴子の持っていた皿の上から落ちてきた、食べ残しのスパゲッティを頭から被って立ち尽くす金之助が、情けない声を上げていた……


***


(あーっ、ひどい目におうたわっ)

トイレから出てきた金之助は、まだ濡れた頭を振りながら憤っていた。

(入江の奴……許さへんでっ)

元はと言えば琴子の仕事を邪魔した自分が悪いはずであるが、金之助の頭からそんなことは飛んでいる。どかどかと不機嫌に席に戻ってきた。

「お待たせました」

ちょうどその時、金之助の注文した料理が運ばれてきた。運んできたのは見知らぬ女性店員である。

「………あ、おおきに」

また琴子ではなかったことに落胆しながら、金之助はテーブルに置かれたナイフとフォークを手にした。じゅうじゅうと湯気を上げているステーキに、空腹を思い出したのだ。

(はあ…これが琴子が持ってきたもんやったらなあ……)

ナイフで肉を切りながら、金之助は内心ボヤく。
辺りを見回してみたが、琴子は見当たらない。
勿論ステーキは不味くはないのだが、琴子が運んできたのならきっと比べ物にならないくらいの美味だっただろう。金之助ははあ、と溜め息をつき、切った肉を口に入れた。

「どーしたの金ちゃん」

突然そばで聞き慣れた声がして、金之助は思わず口に入れた肉を飲み込んでしまい…むせ返った。

「だ、大丈夫!?金ちゃん」
「う……っ、お、おう、大丈夫やっ。それより琴子ぉ…よう来たなあ」

金之助は目を潤ませ、琴子を見上げた。

「ごめんね金ちゃん、せっかく来てくれたのに。ちょっと落ち着いたから、ほら、コーヒーのおかわり持ってきたよ。はい、どーぞ」
琴子は金之助のカップに熱いコーヒーを注いだ。

「こ、琴子ぉ」

金之助はますます目を潤ませ、琴子を見つめる。

「お…おーきに琴子ぉ。琴子の淹れたコーヒーは、……、ん、世界一美味いでぇっ」

「ち、ちょっと金ちゃん、ヤケドするよっ」

淹れたてのコーヒーをがばっと口にした金之助に、琴子は慌てた。

「大丈夫やっ。琴子のコーヒーやさかいなっ、サイコーやで。もっと淹れてぇな」

「もう、金ちゃんたら」

呆れたように笑いながら、琴子はまた金之助のカップにコーヒーを注いだ。
それをきらきらした目で見つめる金之助。

(はあ…、今日は来てよかったなあ)

至福の瞬間に浸る金之助は、琴子しか目に入っていなかった。
その様子を、少し離れたところから直樹が冷ややかな目でじっと見つめていた――。




☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ

直樹vs金ちゃんinドニーズ(笑)。
続きます。

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Re: 紀子ママ様
コメントありがとうございます!

この対決、楽しみにしていただいてよかったです♪

確かに!金ちゃんって、顔でずいぶん損していますよね(笑)。本当はあんなにいい奴なのに。

はい、無自覚直樹はどこまでもえげつないですね~。
自分の感情はよくわからないながらも、とにかく気に食わないから排除!なんですね。

すみません、続きはもう少しお待ちくださいね。
Re: りょうママ様
コメントありがとうございます!

このシチュエーション、原作であっても不思議はないですよね。
むしろ金ちゃんなら絶対顔を出すだろう!と思って書いちゃいました。
行動パターンは琴子とよく似ていますしね(笑)。

そして現れた金ちゃんに、とにかく嫌がらせのような行動をする直樹(笑)。

もちろん、無自覚ながらも嫉妬大魔王の直樹のことですから、このまま金ちゃんを無事に(?)帰すわけはないですよね。


続きはもう少しお待ちくださいね!すみません。
Re: マロン様
コメントありがとうございます!

そうですね・・・この対決、本当は凄く不毛です…(爆)

直樹は自分の感情に無自覚ながらも、ひたすら金ちゃんに嫌がらせ!全く、やってることはえげつないです(笑)。

時系列的には・・・なんとなくですが、中川くん事件の前かな・・・私のイメージですけれども。
ほんと、金ちゃんは毎回損な役回りです・・・

すみません、続きはもう少しお待ちくださいね。

Re: たまち様
コメントありがとうございます!

はい、ついにやってきました!
金ちゃんは琴子と行動パターンが似ているので、バイトを始める前に琴子がよくドニーズに来店していたように、金ちゃんもきっと客としてくるだろうな、と思って書いちゃいました。

そうそう、実は三角関係っぽいですね。でもそれに気づいているのは誰もいない…強いて言えば金ちゃんだけなのかな?(笑)

この後も、直樹の無自覚なのに大人げない、えげつない行動派続きます♪

すみません、続きはもう少しお待ちくださいね。

プロフィール

あおい

Author:あおい
「イタズラなKISS」にはまり、妄想のあまり書いた二次創作小説と言う名の駄文置き場です。
ひそやかに、かつマイペースに更新いたしますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

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